北海道の馬鈴薯畑

[園芸相談センター]の過去ログです

蝶太 【関東】 2013/07/21(日) 14:05:58
先日、北海道をドライブ旅行をしてきました。広大な畑に圧倒されましたが、何ヘクタールもある馬鈴薯畑を見て次の疑問を感じました。
畑に雑草が全く生えていないこと。特に畝間は何キロも雑草が生えていません。自分で馬鈴薯を育てていると、毎年雑草との戦いですが、こんなに広大な畑で雑草が生えていないということは、機械で除草しているか、除草剤を使っているのかどちらかだと思います。
実際に北海道の農家はどんな方法で除草しているか非常に興味があります。いつも、丁寧な回答をされている「ばんざいうさぎさん」からのコメントがいただければ幸いです。

ばんざいうさぎ 【北海道】 2013/07/21(日) 18:26:03
ご指名いただいた、ばんざいうさぎです・・・。
別に私は農家でも無くジャガイモ栽培にたけている訳でもなく、たまたま種芋主要産地近辺に暮らしていた事があり農家さんから聞いた話を書いている、親戚の農業作業を見たり少々手伝った記憶、現在のご近所の農家さんの様子の話にすぎませんので、今回の回答にはあまり期待はしないで下さいね・・・。

北海道のジャガイモ栽培ですが、ご想像の通り除草対策は「機械での除草」と「除草剤」ですが、「人手」がかなり重要に関わります。

機械では大型トラクターに除草用の浅く土を耕す刃を付け行います。でもおそらくいつでも何度でも出来るわけではなく、機械で除草出来る期間は限られるものと思います。対象の雑草に効く除草剤も使っていますが(伯父の所で使っていた)、それぞれの詳しい時期や薬剤名までは私にはわかりません。

私の今住んでいる地域の(タマネギ・ビート・小麦・カボチャの栽培が主でジャガイモの主要産地では無いです)、ジャガイモ栽培が輪作のサイクルに組み込まれている農家で畑の地力維持に結構牛フン堆肥を使います(ジャガイモの為にと言うよりは輪作サイクルに組み込まれた他の作物の養分として)。追肥には当地で「ジャガイモ肥料」と呼ばれる専用のブレンド肥料があり、それを農協から買って使っています。

この牛フンというのが、牛の輸入飼料からの由来でフンに厄介な外来雑草の種子が未消化のまま多く含まれているので畑地に漉き込むと良く生えて来て油断していると酷く蔓延ります。使用する薬剤だけでは対象外なので退治できないものも多種あります。牛フン堆肥は小麦の刈り茎を酪農家に牛の寝わらとして譲り、代わりに牛フン堆肥を貰うので使わない訳にもいかない様です。

ここで一番重要なのが「人力」なのです。
季節労働者を雇い(大抵が、おばさんや身体の丈夫なおばあさん)大きな農家だと20人以上を使って畑地の除草作業をいっぺんにしてもらいます。
このおばさんやおばあさんたちは「出面さん(英語で日雇い人を表すDay menから来た言葉とか。北海道の開拓時からの農業は基本アメリカ式の為)」と呼ばれ、現在では大抵地元農協が雇って送迎バスで各農家にグループごとに派遣されます。大きな農家だと昔から何十年も毎時期決まって来てくれている個人雇用の出面さん(結構なお年寄りもいます)もいますし、本当に忙しくてこれでも人手が足りない時には近くの他の作物を作っている農家や、兄弟や親せきが休日を利用して手伝いに来てくれます。
給金は農協派遣の場合は農協が払い後に農家の収穫後の収入から引かれ、個人雇用だと農家個人が支払います。兄弟・親戚の場合はアルバイト程度の金額と野菜のハネ品(形が悪くて市場に出せないもの)をお礼にどっさり持たせますし、手伝ってくれた農家には、そこが忙しい時に手伝いに行く「手間返し」が習慣になっています。

機械や薬剤だけに任せておいては必ず蔓延る雑草が出てきますし、地中の芋が育ってくると機械が入れないので(土が固くなってしまう)、結局は「人の手」が頼りなのです。
出面さんは実家が農家で普通の家に嫁ついだり、子育てを終えた奥さんが多くて体力に自信がありきびきび動ける人が多いのですが、時給が良いので普通の若い奥さんでもやる気のある人はパート感覚で働き始めます。でも時期によってはかなりキツイので数日でやめてしまう方も多い様です。うちの母も農家の出で、農家の四男坊の父は開発局勤め。私たちが子供のころは父の実家に汽車で片道2時間かけて泊まりがけで数日手伝いに行ったり(子供3人連れ)、私たちの手が離れると、しばらく地元農協派遣の出面として働きに出たりしていました。

私の住んでいる地域は道東から道北にかけてのオホーツク地方で、ジャガイモの主要産地である十勝や道央や後志地方ほど食用のジャガイモの生産は盛んでは無いものの、植えている品種が違います。その品種の特性にある程度の栽培の工夫がいる様ですが(伯父は某ポテトチップス会社と契約し、専用の加工用品種を作っていました)、行っている栽培法はそんなに変わらないと思います。

昔と違い現在は出面さんの雇用については条件が統一されていて、働く時間帯や仕事量も無理はさせられません。暑くなってからの屋外での労働は早朝からの数時間や日差しが和らいで来てから暗くなるまでが多く、青天時の昼間数時間は暑さが半端ないので労働時間に合わせ長めの休息や、別に納屋などでの室内作業をする事も多い様です。代わりに雨天でも水はけの良い畑地なら降りが強く無ければ屋外作業する事も。(昔の伯父の所では夏は必ず2〜3時間昼寝してました)
ジャガイモでも小麦でも収穫時期は過酷で、長雨などで収穫時期を逃しそうになったら真っ暗に成ってもハーベスターで収穫作業をしています。夜10時くらいに近所の畑地で機械のライトが動くのが窓から見え、室内にいても機械音が聞こえてくる事も多いですよ。

大抵はお天気の良い日中に移動して景観を楽しんでらっしゃる観光客の皆さん。トラクターでの除草作業は農家個人の都合で日中行われている事はあっても、その時間帯に出面さんが屋外に居る事自体があまりないので、出面さんが一畝一人づつで並んで雑草取りする作業姿が観光客の皆さんの目に止まる事は少ないのかもしれませんね。

北海道 2013/07/21(日) 19:12:32
>いつも、丁寧な回答をされている「ばんざいうさぎさん」からのコメントがいただければ幸いです。

質問者のマナー
読んでいて不快に感じませんか。
他の方からの質問は結構ですということです。

逆にだれだれさんからの質問はご遠慮願いますなんてのが、でてきたら
まずいでしょう。

蝶太 【関東】 2013/07/21(日) 21:13:13
[[解決]]
ばんざいうさぎさん 出面さんの話は全くの初耳でしたので、観光客の私には非常に新鮮でした。期待通りの回答ありがとうございます。

北海道さん 質問の仕方で不快に感じられたらお詫びします。

北海道を旅しながら、疑問に思っていたことが一つ解決できて幸せです。


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