トマトとオルトラン粒剤

[園芸相談センター]の過去ログです

つる 【関東】 2008/06/18(水) 15:18:40
はじめまして。つると申します。
トマトの栽培において、昨年までは植え付け時にオルトランを撒いて、あとは無農薬でやっていました。しかし、育成後半になるとオンジツコナジラミやハモグリバエ等、毎年何かが大量発生して、苦労しているのが実情です。
そこで今年はオルトランをもう一度撒いてみようと思っているのですが、いつまくか迷っています。
オルトランの説明書きには、収穫日前日までOKと書いてあるのですが、やはり不安です。
インターネットでオルトランの毒性について調べてみても、動物にはほとんど毒性がないと書いてあります。
しかし、葉物の野菜ですと収穫前21日までに撒くことになっていたりして、本当に毒性がないのであれば21日も空ける必要はないのでは?と分からなくなってしまいます。
もし薬剤に詳しい方がいらっしゃいましたら、オルトランを撒いた翌日に収穫する場合について、感想・コメント何でも結構ですので教えていただけると助かります。

農学部生 【北海道】 2008/06/18(水) 16:20:59
オルトランについては、哺乳類に対する毒性は極めて低いです。
ただし、低いだけであって、当然ゼロではありません。
葉物の施剤が21日前までとなっているのは、葉物に施剤した
場合はオルトランの粒子が食用の葉そのものに付着してしまう
可能性があるからです。オルトランを大気中に放置すると、
は通常17日〜21日で完全に中和されてしまうので、無害になります。要するに、ほうれんそうなどにオルトランを施剤して、食べる部分にオルトランがかかってしまったとしても、それから21日後なら、
仮に洗わないで食べても無害という事です。
トマトなどの実を食べる作物はオルトランを施剤する際に、わざわざ
果実に散布する事は施剤ありあないので、前日までになっているのです。仮に、葉物に前日施剤した場合でも、よく水洗いして食べれば、
問題ありません。
ちなみに、店頭に並んでいる、ほうれんそう等の葉物の野菜は、収穫前日まで、オルトランよりはるかに強い農薬を使っています、

つる 【関東】 2008/06/18(水) 18:37:00
[[解決]]
農学部生さん、
とても分かりやすい説明、ありがとうございました。
オルトランについては必要以上に神経質になる必要はなさそうで、安心しました。
それより怖いのは、「店頭に並んでいる、ほうれんそう等の葉物の野菜は・・・」のくだりですね。健康のためと思って、野菜を食べているのが不健康のもとだったりして・・
お答え、大変参考になりました。ありがとうございました。

pinetree 【九州】 2008/06/18(水) 19:18:39
 書いている間に解決がついてしまいましたが・・・

 まず質問ですが,家庭菜園レベルですよね?もしかして,販売に向けるトマトですか?そうであれば,指導機関の指導を受けるべきと思いますので。

 まず,オルトラン粒剤ですが,この薬は根から吸収して葉や実に移行し,それを食べた害虫が死ぬ訳です。ですから,植物体内濃度が虫を殺しうる一定以上にならないと効果がありません。
 移行性農薬は,知り合いが「蒸散流に乗って,植物体の先端にゆくほど濃くなる」と言っていましたが,そうであれば,新芽などの付近がもっとも高濃度になり,幼苗期の被害を効果的に防げるはずです。

 ただし,植物体が大きくなると,それなりに多量に薬剤を必要としますので,使用基準にあるような量では,播いても効果が出ないこともあり得ます。一方で,使用基準を超えて多量に播くのは違法です。

オルトラン粒剤http://lib.ruralnet.or.jp/nouyaku/NB177/NBH19993.htm

 ですから,植物が大きくなった場合は,オルトラン水和剤などの散布薬剤を使うべきかと思います。
 オルトランの主成分アセフェートは浸透移行性があるようで,果実中にも移行するはずですが,根から吸わせて最初から高濃度の果実よりは低くなるのではないでしょうか?
>そこで今年はオルトランをもう一度撒いてみようと
が,オルトラン粒剤を指し,かつ,毒性のことを不安に思われるのなら,やめた方が無難です。私なら水和剤散布にします。

オルトラン水和剤
http://lib.ruralnet.or.jp/nouyaku/NB177/NBH19992.htm

 農薬に詳しいわけではありませんが,農薬の慢性毒性に関してはかなり曖昧のようですね。化学物質(合成,天然に関係なく)の摂取は,さけておいた方が無難です。避けがたいのなら,可能な限り減らす努力をすべきと思います。オルトラン粒剤と水和剤のように,農薬も,特性を理解して上手に使うことではないでしょうか。

 ハウスか露地かなど,情報が少ないので細かいことは申しませんが,ホリバーなどの粘着シート
http://sgnetstore.seesaa.net/shop/goods/SGKB000005.html
や,雨よけをかねて防虫ネットを使うのも一つの手段です。
http://www.jppn.ne.jp/miyazaki/400/panfu/h17net.pdf

 ネットを使うと,暑くてかなわないので細かい目あいのものは使いたくはありませんが,家庭菜園での黄化葉巻などの発生が,周辺の農家への被害拡大につながっている例もありますので,ご注意ください。
 もっとも,コナジラミが大発生した時点までと割り切って,もったいなくても,後は処分するという考え方もあるのではないでしょうか。

 なお,農学部生さんは,奨めるつもりで書かれたのではないと思いますが
>仮に、葉物に前日施剤した場合でも、よく水洗いして食べれば、
を実際にやってしまうと農薬取締法違反になりますので,どうかおやめください。

 あと,当たり前の話ですが,店頭に並ぶほうれん草などの葉物野菜が,すべて強い農薬を使っているものでも無いと思います。ハウス内で連続栽培される軟弱野菜は,ネット栽培などでケミカルフリーで作られるものもありますよ。

つる 2008/06/19(木) 12:30:54
[[解決]]
pinetreeさん、

丁寧な解説ありがとうございます。
また、グッズの紹介もしていただき、大変参考になります。
当方、家庭菜園でトマトを作っています。何年かやっておりますが、知識は素人に毛が生えた程度です。

植え付け時に撒いたオルトランはどの程度、果実に蓄積されるのでしょう。農学部生さんより大気中では比較的短期間に中和されると教えていただきましたが、土中や果実の中ではその限りではないでしょうし・・・
どちらにしても、ある程度育成が進んだ株には粒剤よりも水和剤の方がよさそうですね。

コナジラミが大発生した時点と割り切るのは、つらい決断です。欲張りなもので、なるべく長く収穫したいと思ってしまいます。でも、たくさん食べるために、薬剤をたくさん使うのも本意ではありません。難しいな・・・
最後に、店頭の葉物野菜、確かに全てが強い農薬を使っているわけではないですよね。消費者が出所のはっきりした商品を選ぶことで多少なりとも回避できると思います。ただ、そこにはコストと安全のトレードオフ的な面もあり、家計に余裕が必要かも・・・

いろいろと参考になりました。どうもありがとうございました。

pinetree 【九州】 2008/06/19(木) 18:53:31
 解決後に重ねての書き込みですが

 あくまでも推定ですが,植え付け時に播いたオルトランは,収穫時の果実に蓄積される量は微量だと思います。申し訳ありませんが,具体的な量はわかりません。私自身も疑問に思うことは多いのですが,使用基準に従えば「安全」だとの前提から述べたにすぎません。
 ただし,使用方法で仮に認められていても,収穫前日に播いたときは話が違いますから,前述のように書いた次第です。

 話が飛びますが,一般的な農薬は,土壌中では微生物,陽光下では紫外線によって分解されるようです。その意味では「大気中で中和」は適当でないように思います。オルトランの分解に関しては詳しくは存じませんが,「無毒化(分解)」または「揮散」ではないでしょうか。
 現在の農薬は分解しやすい,半減期の短いものが多くなり,そのことが残効性の短さ(雑な言い方なら効きがが悪いこと)につながっていると理解しております。反面,それが「安全」にもつながるわけです。
 だからこそ,特に食用作物では,どんな農薬(オルトランの水和剤か粒剤かなどを含め)を使うかが重要なのではないでしょうか。

 以下は,よけいなお節介かも知れませんが

 私なら,市販のトマトの雨よけ栽培セットなどをベースに,防虫網を張ります。敷地に余裕があるのなら,パイプ車庫などの骨材を利用してハウスを造り天井にポリ,サイドにネットを張ります。防虫ネットが入手しにくければ,網戸のネットを流用してもいいと思います。
 定植時にはオルトランを施用しますが,同時に,ホリバーなどの粘着シートを設置し,入ってきた成虫をトラップします。
 ネットがありますので,入り口を工夫しなければいけない事と,粘着シートに自分がトラップされる可能性がある2点が難ですが,梅雨時期の楽しみが増し,コナジラミ大発生のストレスからは解放されるでしょう。

 安心安全のコスト論で議論を始めるつもりはありませんが,最も高いのは自家菜園の野菜だと思います。でも,労力とお金を注ぎ込むからこそ,工夫して,楽しんで,美味しくて安心な野菜作りを,長く続けてくださいね。

つる 2008/06/19(木) 19:45:19
[[解決]]
重ねてのご教授ありがとうございます。
やはり、基準となるのは各薬剤の説明書きですね。説明書きを疑えばそこから先は個人の感覚の世界になるのだと理解しました。私個人としては、お二方のアドバイスから、オルトラン粒剤は植え付け時だけの使用にとどめようと思います。

防虫網のお話も参考になりました。早速、ホームセンターで防虫ネットを探してみます。狭い庭で育てていますので、どのように覆うか考えてみます。

家庭菜園の野菜はコスト高になってしまいますね。でも安心・安全に加えて、苗を世話して成長を観察することは、他に換えがたい楽しみです。励ましのお言葉、ありがとうございました。


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