秋にまく種の管理って・・

[園芸相談センター]の過去ログです

さくら 2015/11/14(土) 14:17:28
こんにちは。場所をお借りします。

うちの老人ホームで、先日、花の種をまきました(デルフィニウム
かすみ草、小判草です)
苗で簡単なガーデニングをしたり、春にあさがおの種を植えるくらいは
したことがありますが、秋に種をまくのは初めてで。
毎日「おかしいなー芽が出ないなー」と待っていたレベルのど素人です。
秋にまく種は、春に芽が出ると教えてもらうまで知りませんでした。

何ヶ月かありますが、種をまいたあとのプランターやポリポットは、
どのように管理すればいいのでしょうか?
水は?場所は?日当たりは?

また、花壇の一部に種をまいてしまいましたが、そこに、春まで咲く
苗を植えても大丈夫なものでしょうか?(ガラ空きで寂しいのです)

秋にまいた種は、いつごろ発芽するものでしょうか。
やはり春の訪れを感じる二月くらいからでしょうか。

初歩的な質問で恐縮ですが、よろしくお願いします。

ばんざいうさぎ 【北海道】 2015/11/14(土) 18:29:57
まず、長文であることをお許しください。種蒔きから苗の定植までに必要な栽培の手順を書いております。

お住まいの地域が解らないので、まずは名前欄の横の「居住地」欄でご選択なさって下さいね。

「秋にまく種は、春に目が出る」と教えて貰ったと言う事は割と北の方の県にお住まいでしょうか?
北国ならそれが普通なのですが関東以西なら、秋蒔きで苗を作れる植物もあります。ただし秋と言ってももっと早く9月くらい、今頃蒔いても発芽に適した温度では無いので芽は出ません。

芽が生えてくる時期も種類によって、植えられた地域によっていろいろ。まずは植物の一つ一つに適正発芽温度と言うのがあり、その幅の最低温度が何日も続かないと芽は出ません。早い物ならようやくタンポポが咲いてくれるまだ寒いうちから出ますし、遅いと八重桜が終わってしばらく経ってと言う物も・・・。

鉢やプランター・ビニールポットに蒔いてしまった物は、雪があまり積もらない地域であればどこに置いても構いませんが、場所が建物の壁近くや軒下には置かない方が良いです。植物の栽培経験のある人なら置いて大丈夫ですが、経験の余りない人が置くと土を乾かしすぎてしまったり、まだ本来の目出しの時期では無いのに軒下は壁の温度で暖かすぎ芽が出ても伸びすぎてしまい(徒長)その後の育苗に難儀します。
出来れば雨がちゃんと当たる、建物から2メートルは離れた場所にまとめて置いておくと良いです。もしビニールポットがいくつもあれば、100均の店で売られているプラスチックトレイで「底に沢山穴の開いている製品」を買って来て隙間なく並べておくと良いです。穴が無かったり少ない物は向かないのでご注意ください。トレイに入りきれない数があるならホームセンターで「育苗箱」と言うのを購入なさってください。育苗箱には主に2サイズあり、小と小の2倍の大きさのがあります。強度的には育苗箱は頑丈で壊れにくく、プラスチックトレイは日にずっと当てていると劣化し一年もしないうちに割れたりと脆いので、今後毎年種まきする予定なら最初から育苗箱を買った方が良いです。
東北や北海道なら雪の積もる場所に春まで置きっぱなしで構いません。積もった雪が断熱材の作用をしてくれるので種子も無事冬を過ごせます。春に雪が溶けて全体が現れれば、早くから作業したいならビニール製の簡易温室や、沢山あればビニールトンネル内で管理すると上手に芽だし出来て育苗にも使えます(日中は高温に成りすぎる事があり、内側に結露が付くのは良くないのでビニールを開けておく事)。

本当はプランターや花壇に直接種まきするのは、直根性など植え替えを嫌う物以外にはあまり良くありません・・・。直接蒔くと発芽し無い物が多かったり(こぼれ種子で生える物は、落ちた大量の種子の中の一部に過ぎません)ばらまいたり筋まきだと発芽すれば生える様子がまばらに成ったり密集し過ぎたりと(間引いた分損になる)、育てば生えている場所がバラバラで育ち方もバラバラで見た目が良くなく、それに根の本数も少なくて育ちも遅くなります・・・。

種子蒔きは、楽しみたい所では無い所に蒔くのが基本です。できれば地面では無く、ピートバンやプラグトレイ(別名セルトレイ。使い方のコツさえつかめば種蒔きや育苗が楽で、使い慣れると蒔く種子の数が減らせ間引き損が少なくなる)の様な発芽・育苗専用資材に数粒づつ離して蒔くか、素焼きの平鉢やビニールポットの大きく無い物4号ポット位に土を入れて均等に蒔きます。
使用する土も普通の土では無く「種蒔き・挿し木専用土」と言うのが向きます。普通の土は発芽したばかりの芽を枯らす菌が多く含まれていて立ち枯れ病で倒れてしまい助からなかったり苗が一晩で全て食べてしまうヨトウムシなどの害虫が潜んでいます。

水を十分含ませたピートバンや、種蒔き専用土を入れたプラグトレイ・平鉢・ビニールポットに、プラグトレイなら一升に4粒くらい平鉢やビニールポットなら4センチくらい離した穴一に4粒くらい蒔き、植物の種類によって好む厚さの土を被せます(植物には嫌光性・好光性の物もあり、適切な土掛けをしないと何時までも生えてこない)。
水をたっぷりと与えたら(ジョウロの口の穴は小さい物。勢いが強いと土ごと種が流れる)嫌光性の種類は出来るだけ常時暗い場所に置きます(注意して見ておき発芽しだい光に当てる)。表面がすっかり乾かない様に注意を払い水遣りは朝たっぷりと与えて下さい。植物への水遣りは気温が高くなる時期は遅くとも9時くらいには済ませておいて下さい。昼間や夕方・夜の水遣りは小さい株には負担が大きいので避けるように(もちろん大人の株でも朝以外の水遣りは良くないです)。なるべく湿度の低い乾燥する場所には置かない事。

芽が出ればなるべく日当たりの良い場所に置き、出そろったら種まきの時の1穴分の4つの芽から拗れた生え方の物は根元から切って取り除き、本葉が出てきて育ってくれば3つのうち一番元気な物1つだけ残して他のは抜かずに根元から切り取ります。もし苗一つで自立できず根元から傾いてしまう場合は土を足して支えてあげて下さい。

本葉が3枚くらい出てきたら一度目の植え替え。まず苗を土をなるべく付けて何株かまとめて出します(プラグトレイなら底の穴に割りばしなど突っ込んで土を浮かせそっと抜く)。
3号くらいのビニールポットに、普通の花の培養土を詰めて、育苗時の土をそっとほぐして根を切らない様に苗を1本づつ離し(離したら植えるまで穴が無く少し深めなトレイなどに濡れた新聞紙を敷き苗を一本づつ並べて、トレイの縁に掛かるように上を濡れタオルで覆っておくと作業中乾燥しません)、ビニールポット内の土に穴を空けて植え、根元にしっかり土を寄せて植えます。

ビニールポットを隙間の無い様に育苗箱に並べ、複数の種類並べるならラベルに名前を書いていくつかに挿して区別できるようにします。
使った花の培養土に最初から堆肥や肥料が混ざっているなら管理は水遣りくらい。ただし植物によっては寒すぎるとなかなか育たない物があるので、なるべく暖かく日当たりの良い場所に置きます。ただし地面は土の場所で、コンクリートやタイルが貼ってある場所は高温に成りすぎる事があるので日中気配りできない場合は置かない方が良いです。水遣り頻度は置き場所の環境に寄りますが2〜3日に一度。雨天が続けばもっと間隔の幅は広まりますので、水遣りの目安はビニールポットを持ってみて軽く感じるくらい。与える時はたっぷり底からの水が染み出てくる位。水遣りするときは水の移動のメリハリをしっかりしないと根が腐ってしまいます。

苗が大きく育ってきて、ビニールポットの底から根が出てくる頃に2度目の植え替え。植物によっては2度目の植え替えをせずに定植できるものもありますが(かなり丈夫な物はプラグトレイからすぐ定植ができます)普通は定植までにビニールポットへ2回植え替える事により根の育ちが良くなって細い根が沢山殖え、定植後の育ちや花の大きさ多さに差が出ます。

ビニールポットから抜いたら(土は乾きすぎていない程度の時)、土がビニールポットの形のまま抜けて(これを根鉢といいます)表面には細い根が見え、育ちが旺盛ならビッシリと膜の様に張っています。細根が少し見える程度なら土の表面を少し剥がして細い根が1〜2センチ見える状態で4〜5号の大きさのビニールポットに土を隙間無い様に入れながら植えます。膜の様に根が張っていれば、縦に3、4か所指で根を切り筋を作ったり、特に丈夫な種類なら表面の膜状の根を全て剥いでから土に植え替えます。全て植え替えたらたっぷりと水を与え(可能ならメネデールを薄めた水)、水が引いて土が足りなかったものには土を足して更に水を与えます。

最初の水遣りから3回くらいはメネデール入りの水を与えた方が根の初期生育が違い元気な株に育ち易いです。どんどん大きく育ってくるなら、肥料成分の比率が等分な液肥を「規定よりも少し薄めて」与えて下さい。成分が等分では無い液肥や(リン酸は多くて良いですが窒素が多いのは使わない事)原液を薄める時に濃度が濃くなったり、与える頻度が多すぎると開花の頃に悪影響が出て、葉ばかり茂って蕾が一つも出ないか少ない、咲いても小さかったり正常に咲かなかったりします。

株が育って上から土が見えづらく成ったら水遣りに気を付けて下さい。ジョウロのハス口で上から与えても葉から流されて土までちゃんと届きません。ジョウロはハス口を取り、葉をめくって根元の土にビニールポット一つづつに確実にたっぷり底から水が染み出てくる位与えて下さい。
順調に育ちビニールポットの底から根が見え始めたら漸く店で売られている状態で植えたい場所に定植できます。

植えたい場所はまず良く耕します。できれば前に植えていた物の枯れた根を綺麗に取り除き、土が痩せている様なら完熟腐葉土を足しておき、堆肥(牛糞堆肥以外。バーク堆肥が向きます)を植物の種類により2〜3割混ぜておきます。全体が耕せないなら植える周囲直径30pのところの土を掘りだして混ぜてまた入れ直しても良いです。
元肥に緩効性肥料のマグァンプ粒などを規定の量土に混ぜます。植物の種類(特に宿根草)なら与えすぎず少な目の方が毎年丈夫な株に保てます。

植物によりとても肥料を好む物(ヒマワリなど)は、苗を定植する前に穴の底に置き肥(元肥)を入れて置くと育ちが良くなります。
使用する肥料は牛糞堆肥など(牛糞堆肥は名前に「堆肥」と付きますが堆肥として使うにはリスクが多く向きません。少量を肥料として与えるのに向きます)肥料が多い所に直接植えると根が傷むので、牛糞堆肥を置いたらその上に5センチほど土を入れてから苗を植えて下さい。

植物の種まきから定植までにはこれほどに手間がかかります。慣れた人なら自己流で省けるところは省きますが、馴れない人がすると失敗の素なので基本に沿って行った方が良いです。

お仕事で介護をされたりと植物の管理に時間を割く時間がなかなか取れにくい場合は、朝顔やヒマワリなど栽培が容易な種類の種子蒔き以外での「種からの栽培」と言うのは手間もかかりますし、育苗中使う土や資材を買う費用も結構掛かります・・・。おそらく売っている苗を買って来て植えた方がかなり費用は安いはずです。
作業療法的な目的も含むなら予算を組んで誰かアドバイザー的な立場の方にお願いするのでなければ、ほとんど園芸経験のない人が入所者さんを指導したりは難しいですし・・・。(学生ボランティアで何度も老人ホーム訪問・元医療従事者・介護経験と知識有りなので、個人的に葉元気な入居者さんばかりの職場でも、職員さんが植物を栽培する時間を作るのは難しいのではと感じます・・・)

生き物を育てるというのはトラブルが付きもの。他の仕事をしっかりこなしながらも園芸作業を行うと言うのはかなり大変と思います。
栽培は種まきからでなく苗からの方がずっと確実に育ってくれますし見た目の保証は完全です(種から育てるのは初期の育て方が悪いとずっと貧弱なままで終わるので、私はこぼれ種子で生えてきた芽も見つけ次第ビニールポットに植え替えて育苗します)お年寄りが自分で行って楽しむためにガーデニング作業をとお考えに成っているなら種から育てる事も意味があり、種から蒔いての作業も経験していくのは良いと思うのですが、お年寄りが育てるのではなく眺めたりお水を与える程度なら最初から苗を買って植えるのが失敗も少なく予算的にも負担は軽いと思います。

あと、もう種を蒔いてしまった花壇ですが、種を蒔いたところから部分的に生えてくれなくなっても良いのなら今時期から楽しめる植物を植えても良いのですが、わざわざお聞きに成られている事から出来るだけ芽を出して欲しいのですよね?でしたら何も植えられません。ただ、春に芽を出すまでの時期限定で、その上にプランターなど置くのはそれほど影響ないで済むと思います。
土入りでも持ち運びが可能なくらいの大きさのプランターに今時期から楽しめる植物を植えて見た目の寂しい所に置くだけです。ただし、その場所では雨が当たる以外の水遣りが出来ません。水遣りでプランターの底穴から流れてくる水の勢いで蒔いてあった種が流れてしまうおそれがあるからです。
水を与える時は種の蒔いていない場所にプランターを移動させそこでたっぷりと水を与えます。底から流れる水の流れがほぼ止まったら置きたい場所に戻します。
ただ、この作業はプランターの大きさによっては水を含んだ土入りプランターはかなり重いのであんまりお勧めできる方法ではありません。それに春置き場所から早く別の場所に移さないと下で種が腐ってしまったり、プランターの下でモヤシ状に芽が出てしまい、そうなればどうやっても育たない事も多いので・・・。

予算があれば造花で隠すと言う手もありますが(グラウンドカバー状に作られている葉だけの物と、花の造花を組み合わせる)本物っぽい作りの造花はお値段も高いしであまり現実的では無いですよね・・・。

今時期見た目が寂しいのは園芸経験が浅い人の場合は当たり前の事なんですが(経験豊富でも土を休ませるため植えない人も多い)、今回では無理ですが来年以降の将来的な方法ならあります。

冬場寂しくなりやすい場所に、春から常緑性のグラウンドカバー植物(宿根草)を植えて育て地面を覆うのです。冬も枯れず緑のまま。そしてこれからが工夫なのですが、グラウンドカバー植物を植える前に、何か所かに大きい鉢(駄温鉢が向きますが素焼き鉢でも可)を埋めて、中は空にしておくんです。グラウンドカバー植物を植えたら、今度は埋めた鉢の中に植えたい植物の好む土質の土に堆肥と肥料を混ぜ苗を植え付けたり、場合によってはぴったりと嵌る鉢に植えてある植物をすっぽり入れるのです。将来的にグラウンドカバーが伸びてくれれば境目は目立ちません。
こうすると地面があまり目立たずずっと植物が楽しめます。鉢の中の植物も植えやすく抜きやすいですし、鉢植えなら手軽に取り換えられます。費用も一番最初にグラウンドカバー植物の苗を数個買えば年を経るごとに伸びて殖えてくれますしあとは大き目の鉢くらいと場合によっては土が鉢の数分の量だけ。あとはぴったり入るプラスチック鉢の分厚い丈夫なのを買っておくと何年も使えて、毎年苗を買って植えるだけです。ただ、グラウンドカバー植物の種類によっては茂ると中に植物に害がある虫が住み着くこともあるので、出来るだけ虫の住み着きにくい種類を選んだ方が良いです。実際はいろんな種類や見かけの植物があり好みが別れる物もあるので「グラウンドカバー植物」で検索なさってみて「年中常緑の宿根草」を第一条件に検索してお調べに成られると良いです。

グラウンドカバー植物の種類をうまく選んで使えれば年中緑や花を欠かさず見た目が良くて管理もそれほど難しくありません。乾燥を好む種類なら水は雨が当たる程度で良く水遣りは埋めた鉢部分の植物にだけで大丈夫です。茂りすぎれば適宜刈ったり部分的に抜いて透かす(隙間を作る)ます。事情が許せば予算など来春に向けて検討なさってみてはいかがでしょうか。

さくら 【関東】 2015/11/14(土) 21:43:12
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>ばんざいうさぎさま
助かります。詳しくありがとうございます!
何回も拝読しましたが、奥が深いのですね・・

私の地域は関東の西、神奈川です。
私の園芸スペックは、ホームセンターで売ってる野菜や花の苗の
育てやすいのはやる、というレベルで、春ならともかく難しそうな
秋の種まきなんかやったこともありません。

うちの事業所の入り口にちょっとした花壇があり、季節の
苗を植えて世話しています。
フォーカルポイントとしての花壇なので、季節ごとに
再生土を入れてすきこんで、育てやすい子を買ってきて植えていました。
今年はパンジー、ビオラ、アリッサム、ジュリアン、ノースポールです。
小さい事業所ですぐ前にあるので、毎日世話していますよ〜
(決して暇というわけではありませんが笑)

問題はお客さんが、「うちの庭の種なの」等と持って来られるのですね。
みなさん折々の花壇を楽しみにしてくれて、あれもこれもと寄付が
出てきます。
千日紅くらいならいいのですが、先日はむかご?が出てきました(私が
持ち帰りました。庭で育ててみます)

そして先日も、種を持参して来られまして・・
もう遅いとは思いましたが・・

高齢者なので、来年の春までお元気でいらっしゃる保証もないし
種の袋に書いてある種蒔きどきギリギリということで、植えてみた次第です。

※かすみ草は直播きでよし!とあったので直播きにしてみたのですが
やはり苗を作ったほうが良かったのですね。

芽が出ないので、ビニールハウスを作るか、日当たりのいい屋内に
入れるべきか?と悩んでいたら「いまの種は春に出る」とお年寄りに
言われまして、聞いてみた次第です。

ポリポットとプランターにまいた分は、教えていただいた環境に
置いてみます^^
花壇にまいた分はもう仕方がないので、なにも植えずに
春を待とうと思います。

いただいたレス、プリントアウトしてマニュアルにします。
ご親切にありがとうございました。


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