コスモスのはなについて

[園芸相談センター]の過去ログです

トモエ 【近畿】 2015/11/05(木) 15:15:44
コスモスの蕾がたくさんついているのですが花がなかなか咲きません
どうしてなのでしょうか?

ばんざいうさぎ 【北海道】 2015/11/06(金) 15:54:27
なにぶん情報が少ないので、もしかすると的外れな回答になっているかもしれませんが気が付き原因かもしれない事が2つ思い浮かびました。長文で解り辛い文かもしれず申し訳ないのですが、頑張って読んで下さり気が付いた点が出て来たり、今後の栽培の参考にしていただければ幸いです。

トモエさんの投稿を拝見させていただいてまず最初に感じたのは、「どんな品種のコスモスなのだろうか」との事でした。もしかすると今年初めて栽培された「品種」でしょうか?

お住まいの地域で昔から栽培されている「普通のコスモス」の種子では無い、例えば「他県の地域で育ったコスモスの種子」や、新たに購入した種子の場合は、知らずに「系統の違うコスモス」の種子を蒔いてしまっている可能性事があります・・・。
「開花期間が晩生な性質の系統」の種子を蒔いてしまったのかも?と感じました。

私の昔の経験ですが、コスモスの花色がレモンイエローと言うその頃まで存在しなかった珍しい花色の品種が発売された頃に種子を通販で購入しました。その時に‘アカツキ’(赤と白の絞り模様の花)と言う品種も同時に通販で取り寄せ同じ日に同じように蒔いたんです。どちらもビニールポットで育苗し、苗をそれぞれ違う場所に十数本ずつ列植えに定植しました。

どちらの品種も順調に育ってくれ、アカツキの方はこちらの地域で昔から植えられ咲いているコスモスと同じ頃に花を沢山咲かせ目を楽しませてくれました。
それに反し、なぜかレモンイエローの花色の方のは蕾が育ち大きくなっているのに固く閉じたままでなかなか緩んでくれず花弁が見えません。
そうしているうちにアカツキの方は種子が採れてきたのに、そちらの方はそのまま。頑なに蕾が開いてくれません・・・。
北海道は秋も深くなれば夜から朝方にかけて霜が降り始めます。霜に一度でも遭ってしまえば植物全体に水分が多くて瑞々しいコスモスの株の場合たった一度の冷気でも当たればダメになって回復不可能のまま枯死してしまいます・・・。
毎日ヤキモキして待ちましたが例年だともう霜が降っておかしくない頃になってからようやく蕾が緩くなり花弁が見え始めた頃、週間天気予報でその日から数日後は特に寒くなると知って、「もうこれ以上は待てない。外に置いたままにはしておけない」と意を決し、全て根元から切ってしまいました・・・。
私は以前花屋に勤務していた経験があるので、店で切り花で市販していた長さに枝を切り分け余分な枝葉を取り除き整えてから、自分の家の中に飾る分を取り置いて余った分は内心もったいなかったですが「捨ててしまうよりはマシだから」と近所の方々に「珍しい色のコスモスです。部屋の中で生けておけば数日で花が咲くので咲かせて楽しんでください」と、一件につきどっさりの本数を配って歩きました。幸い近所中お花が好きな方ばかりだったので喜んで貰って下さり、充分楽しんでくださったそうなので残念な気持ちも少しは救われました。
その後パソコンを使うようになってその品種の事を調べてみて分かったのが、その花色の系統は皆晩生・・・。隣の街に花の種子の品ぞろえが良い店がありますが、同じ系統の品種のコスモスの種子は未だ置かれていません。その系統は「こちらの地域では栽培のむずかしい」物だったんですね・・・。
この失敗は「珍しい品種を好む」「通販でも買う習慣がある」人が陥り易いと感じます。通販は販売対象が日本全国ですし詳しい説明もないため「住んでいる環境に合わない植物を選んでしまう事も多い」んですよね・・・。近年は改良技術が複雑なので、植物自体はその土地で普通に栽培できても、交配時に今まで使われていなかった近縁種の遺伝子が取りいれられたり、交配の弊害で性質の一部が変わったりで「今までの常識が通じない系統」も出てきている様で特に新しめの品種に最優先した改良部分以外が良くない性質のある(丈夫さとか、育てやすさとかの部分が弱くなっている)品種も増えてきていると個人的に感じています。

最近はようやく北海道の品ぞろえの良い苗屋さんや種子屋さんのインターネットショップ通販も増えてきたので、未知の種類や系統(品種)で欲しい物が出来たらまずはパソコンで性質を調べてから道内の店でも扱っているか確かめ(北海道の店は耐寒性情報を書いてくれている所も多い)あって購入出来そうな値段なら注文、もし無ければ「ここらでは栽培が難しいのだろう」と思って諦めています。


その後は、アカツキの方は種子を毎年採って咲かせましたが、レモンイエローの系統の(後にその品種を交配親にオレンジ色の品種も作出されました)品種は「こちらでは露地栽培に向かない物」と理解し購入は避け、その品種が花友さんとの会話に出てくれば「こちらの地域では露地栽培は無理」とアドバイスしてきました。

コスモスの様な昔から日本に入ってきている花は種子から容易に生えるので、その地域の「在来種的なもの」があります。こういう物ならその地域ではこぼれ種子から発芽し放置したままでも時期には花が咲きますし、開花条件には「日が短くなり始めると咲く」と言う性質があるので、種子蒔き時期からかなり遅く蒔いたり発芽しても極端だと十数センチの貧弱な株でさえも小さな花が必ず咲いてくれます。
それが、住んでいる地域周辺では見かけたことの無い「花弁の形や色の見た目が違う品種」の種子を蒔くと、時折こちらの環境が合わなかったり「花が咲くのが遅い」品種に当たる事がある様です。これは購入種子で無くとも、全国各地に花友さんが居て時々種子や苗を交換したりお譲りいただいた時にも時々そういう物があったりします。こちらからお譲りするものでも「こちらでは当たり前に育つ」のに余所の地域では栽培が難しい物もあったりするんですね・・・。
以前ある植物の種子の貰い手募集を一度だけインターネット上(寒地を好む、地域の限られる種類だったので、あえて地元のサイトの掲示板を利用)に書き込んだ所、当時あまり出回っていなかった種だったので終了後にも検索から辿ってきた全国の方から何年にも渡って「種子を採って送って貰えないか」との問い合わせが相次いで転送されてしまい、あきらかに栽培が不可能な地域には詳しい説明の上お断りを入れたり微妙な地域では「育たないかもしれない事を了承のうえ」種子収穫に無理のない少量だけ(それでも普通20本は育つくらい)をお送りしました。中には失敗を繰り返すのに諦めきれず何度も送ってほしいと言ってくる人もいて・・・。気候的に暑さや蒸れに弱い物なので無理な物はどうやっても無理なんですよね・・・。そのうち温暖化の影響でこちらの地域でさえ種子まきからの育苗も難しくなり、地元サイトも閉鎖され今では突然メールが転送されてくることもなくなりましたが・・・。

花屋に勤務していた経験から、切り花で販売される花はコスモスも含め長期間にわたり全国各地で生産されている事を知りました。日本でのコスモスの花卉生産は出荷期間を長くするのに複数の系統を栽培したりり、全国各地で開花時期がずれ出荷しても値段も変わってくるため、開花時期を調整しやすく交配・改良された品種が存在するのでは?と感じます。それと花卉生産は露地栽培よりも規格が揃いやすい温室やビニールハウス栽培物が多く、露地物と違い人為的に日照調整を行えば開花時期が屋外よりは早くできたり遅くしたりも設備さえ備え付ければ容易にできたりもします。温室やビニールハウスなら、キク科植物の場合屋外よりも遅く開花させる為に夜間も照明を当てる事が出来ますし・・・。もしお住まいの地域の一般家庭ではあまり見ない品種であったなら、お近くの地域の花卉生産業者が栽培する場合は温室やビニールハウス栽培で生育・開花を調整すべき、露地栽培では開花しにくい品種なのかもしれません・・・。


あと一つの可能性としては周りでも種子が蒔かれ栽培されているもので「いつもこの時期にはすでに花が咲いてるはずの物」なのに、ご自分では今年初めての栽培や、毎年栽培してるのに今年に限って何故か花が咲かないという場合は「肥えすぎた土」で栽培してしまったか「肥料の与えすぎか成分の偏り」が原因の可能性も考えられるかと思います。

私が上記の2つの品種を育てた時に、別々の場所にそれぞれの苗を定植し育てたのですが実は、両品種で株の育ち具合にかなり差が出たのです。
アカツキの方は昔からこちらの地域で見られるコスモスと同じくらいの大きさの株で咲きましたが、レモンイエローの方はぐんぐん育ち続け、まるで若木のごとく高さは人の目線ほどの高さまで育ち根元の茎はとてもがっしりと太く、普通のコスモスの倍も太い茎の節からはかなり多くの丈夫な枝が伸びていき株幅もかなり広かったんです。
後で知ったのですが、植えたその場所は私たちが引っ越してくる前は農家を営んでいた義父(義父の急死がきっかけで私たちがその家に越してきた)が、酪農を営んでいる親戚からトラックで運んで貰っていた牛糞堆肥を降ろしてもらうのに毎年使っていた場所でした。
敷地内の別の場所で、以前は毎年小松菜を作るために毎年欠かさず牛糞堆肥を入れていたと言う畑を私が前の家から持ってきた花を植える庭にと替える際、牛糞堆肥由来で残留しすぎていた窒素の悪影響で何年も花が咲かない・害虫の大量発生など長い間酷い目に遭っていたのですが、レモンイエロー色の花のコスモスを植えたその場所も、小松菜畑ほどでは無いにしても、毎年牛糞堆肥を降ろす場所に使われていた事で(おそらく酪農家自家製ですから袋などにいれずトラックにそのまま積んだ一山分)毎年多くの養分が染み込み窒素分が充分な場所になっていたようです・・・。それでもどうにか過多や残留ほどでは無くコスモスは蕾が付き花が正常につけられた様です。現在は這い性の性質の植物が植わっていますがこれも生育が旺盛です。花が春に咲く種類ですから正常に沢山咲いてくれ種子も沢山採れます。

トモエさんも、もしかすると養分たっぷりの新しい土や再生土を使っていたり、堆肥の入れすぎ・肥料の与えすぎの方に心あたりはありませんか?土の養分や肥料成分の偏りによってはなかなか開花しないと言う障害があるのかもしれません。
コスモスはかなり性質が強いので、痩せ土でも貧弱ながら花を咲かせますし土に養分が乏しい所でも結構しっかりと育つので肥料を全く与えなくとも結構花が咲きます。元々肥料はあまり必要としない様に感じます。
初めて育てた場所であれば土が思ったよりも肥えていた、鉢やプランター栽培であれば新たに買った土に混ざっていた堆肥や肥料がコスモスには多すぎた、再生土なら以前植えて栽培していた花の時に与えていた肥料が消費しきれておらず残留していたなどの理由があるのかもしれません。もし、初めてコスモスを種子から栽培したのでしたなら、他の植物を栽培するのと同じような管理をしてしまい、「コスモスを甘やかしすぎた」のかもしれません。
植物の種類によっては土の養分や肥料がその植物にとっては多すぎた。特に窒素が多すぎたりすると、一見立派に育っても茎葉ばかりで花の方に何らかの障害が現れてしまうと言う事が多いです。
実際、件の元小松菜畑に植えた花を楽しむ種類の植物は毎年物凄く株が育ち枝葉が茂りましたが最初の数年は蕾すら全く作られなかった物も多く、数年経った後からは蕾が出来ても育たず開花には至りませんでした。もう十年以上経ったその場所は現在半ば休耕地の様な姿ですが、生き残った植物は物凄い規模に育ちます。モナルダや薄荷など強靭なシソ科の花が咲く物は咲きますし実付きも良いのですが、種類によっては信じられないほど増えたり(数十年前の畑に成る前生えていて休眠していた種子が芽生えてきて増え今は春にはミツバ畑の様になります)植えているホースラディッシュの本来の葉の大きさから比べ異常に長く大きい葉が育つので、未だに窒素分が多い部分もある様です。

植物の種類種類によって好む土質や、必要とする肥料の量や成分が違います。私の場合前の家と今の家では土質や環境が正反対と言っても良いくらい違ったので(以前の家は川の傍で川砂主体の痩せ土。現在の場所は元湿地を改良した土地で水はけが場所により悪い)持ってきた種類の多くが地面植えすると育たず数年で絶えてしまいました。今の家の敷地では前の家ではほとんど栽培が無理だったり貧弱だった種類、特にクリスマスローズやニオイスミレ(近縁種のアオイスミレが元々自生している)がびっくりするくらい旺盛に育ちます。

もし、土質(肥えすぎた土など)の使用や肥料を与えていることに心当たりがあれば、次回は土壌改良で調節してみたり肥料の量を控えてみたり、肥料成分も窒素少な目の物を選んで使うなどしてみて下さい。
露地栽培で窒素が残留している可能性の場所なら、その場所の土を半分取り除き、新たに痩せた土や無肥料の土を足してよく混ぜて含まれる窒素分を薄めるとその後の開花障害は出なくなります。
そこまで手をかけられない場合、鉢やプランターなどでの栽培で新たな土で栽培するのが一番簡単で手間がありません。
庭土を根本的な所から帰るのに数年かかっても良い場合は、肥料喰いの植物を何年か続けて栽培し育ったものを収穫したり刈ったり別の場所に移す事でも窒素など余分な養分が減って改善されます。
例えば、食用ヒマワリなど大型に育つヒマワリを何年か続けて栽培し、種子が実ったら収穫、その際に根元から切り取り茎葉は別の場所に移動させ処分します。野菜を育てても問題ないのならトウモロコシを植え(株間は基準通りに群植し、花粉が雌花に付きやすい様に)実の収穫後茎や根はその場から掘り取り別の場所で処分。
もし手に入るなら緑肥に使われる植物(マメ科は余計窒素が増えますから不可)を栽培し本来の漉き込みに最適な時期に「漉き込まず全て刈り取り根も抜き」別の場所に運んで漉き込んだり。
刈ったり抜いた物の利用・移動場所が無いなら庭や畑の隅の何も植えない場所に穴を掘って埋めたり、土と一緒に積んで自家製堆肥を作っておいて、養分の乏しい土の場所があれば2〜3割混ぜるのを3年くらい」繰り返せば良い土に変えられます。

もし今回の事が窒素多過(あるいは残留)の方が原因であったのなら、今後も他の植物で同じような事が起きる事もあり得ます。
それを未然に防ぐ為にも、土の養分や肥料の知識に何処か見落としがあるのかもしれないのでもう一度基本からおさらいしなおしてみて確認する必要があるかも・・・。
各ジャンルの品ぞろえの良い本屋さんや規模が大き目な図書館の園芸本コーナーに「土・肥料・堆肥」について一般向けに解り易く説明されている本が何冊か置かれていると思います。図書館だとそこには置いてなくても図書館に設備された蔵書検索システムなど利用し本の題名を示して頼めば余所から取り寄せてくれます。何冊かざっと読んでみて解り易いと感じた1冊を本屋で購入、もし無ければ注文し取り寄せてもらい、手元にいつも置いて読み込んでみて下さい。
土や肥料の事についての知識にはそこそこ自信のあった私でも、読んでみて目からウロコな情報がいくつも書かれてました。土の種類と性質や堆肥・堆肥の種類との効き目の違い、成分が植物のどの部分に特に効くか、好む環境が違う植物それぞれの基本的な土のブレンド比率など参考になる事柄も多く書かれていますので、是非一度ご覧になってみて下さい。


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