初めてのダイモンジソウ

[園芸相談センター]の過去ログです

younima 2014/10/28(火) 11:15:34
1か月くらいにダイモンジソウを買ったのですが、雄蕊がないようなのですが、そういう品種もあるんでしょうか?
品種は「琴音」というものです。

雄蕊がないので、種は採れないのでしょうか?

あと、花が今10数個ついてて、買ったときからついてるものは黄緑色になって(咲いてからピンク→白→黄緑になってる)いて、でも先のほうにまだ蕾があるのですが、先のほうの花が全部咲き終わってから、根もと近くで花茎を切断するんでしょうか?
それとも黄緑になってるのを1個1個とるんでしょうか?

よろしくお願いします。

ばんざいうさぎ 【北海道】 2014/10/28(火) 19:15:21
交配由来の園芸化植物の品種にはダイモンジソウにかかわらず雄蕊や雌蕊が未発達のまま開花するものは別に珍しくありませんよ。遺伝子の組み合わせから来るエラーみたいなものです。その特徴は時々出る程度から、雄蕊か雌蕊片方が無い物から最初から両方が全く無い物まで。
雄蕊が無くても雌蕊が完全であれば他の株の雄蕊からの花粉が受粉でき実も膨らみ種子が作れます。反対にもし雌蕊の方が無くても雄蕊がちゃんとできていれば他の株に花粉を提供して子孫を作ってもらいます。

ただ、そういう他花受粉でできた種子から生えてくる物は全て雑種となってしまいます。たとえば「琴音」の雌蕊に他の株から受粉させると、その種子から出来た株は「琴音」に似ていても遺伝子100パーセント同じではないので「琴音」の品種名は名乗れなくなります。簡単に言えばニセモノを作る事になってしまいます。

そもそも山野草の「品種物」の場合は種子で増やすのはお勧めできないので(品種の作成時に想定されていないので)別に種子が出来なくても良いのです。特にダイモンジソウは株分けなどの栄養増殖が容易ですし。

近年の園芸植物の品種作成の交配はだんだん複雑になってきているので、品種の性質の「固定化(何代も繰り返し自家受粉させて選別し特徴を平均化する、大抵10年以上かかる)」が行われていない品種の場合、種子で増やすと親株と似ていないものが出現しやすいです。
中には特徴が劣ったものや性質的に丈夫ではないものも出る可能性があります。これは自家受粉で普通に出る可能性もありますし(きちんと固定化されている物でも購入後10年くらい代々実生苗を作っていると時々エラー的に出ることも)、傍に他の品種やダイモンジソウと交雑可能な近縁種などがあれば簡単に交雑してしまい雑種化のもととなります。

植物全般の園芸化されたもののほとんどに言えますが、「きちんと固定化されている品種」と確認ができない物は種子で増やすと特徴が維持しにくい物が多いのです。更に近年は固定化にかなりの年月がかかるために省こうと栄養増殖で容易に増やせるものや、メリクロン増殖できるならすぐに新品種として発表・販売してしまうものが多いです・・・。これらは種子から増やすと劣ったものや、過去の何代も前の交配親由来の全く違う特徴が出ることも珍しくありません。

ダイモンジソウでも園芸化されていない「野生物の特徴を保てているもの」であれば条件として近くに他の品種物や近縁種を置いておらず、自家受粉でできたと確認できた種子のみ、「自家受粉の種子」を蒔いて実生苗を作って良いですが、園芸化された品種の場合は極力種子では増やさない方が良いので元々自家受粉ができない品種であれば、それはそれで別に構わないのです。
中には、登録品種の権利(許可無くの増殖や販売の禁止)を守るために、その特徴をあえて利用している場合もあります。野菜の一代交配品種の種子の生産では、使う花粉親品種の花粉以外を排除するためにあえて「雄蕊が出来ない個体」を増やして種子親にと利用したりしていますよ。

野山草の場合、種子での固定化品種と言うのは多くなく種子増殖での特徴維持が難しいものが多いのですが、幸い栄養増殖が可能で容易なものが多いです。
どうしても種子を採りたいと拘るのは、その品種を使い異品種同士を計画的に組み合わせ交配し新品種を作りたい人くらいでしょう。ただ、新たな品種を作り出すにはとても長い年月と高額な費用と、知識の他に運の強さが必要なので、手軽に手を出せるものでもありませんし。

山野草の親株と100パーセント同じ性質を持つ子孫を増やすのは、基本「閉鎖花の実が付く種類なら、それから採れた種子のみ」と「株分け・ランナー・根伏せなどの栄養増殖」だけですから、同じ品種が名乗れる子孫株を増やしたいのなら、種子では増やさず栄養増殖の方でなさって下さいね。

花の色が極端に変わっていくのは、その植物や品種の特性です。品種によっては選抜で余計強調されている場合も。それが品種としての「見どころ」なのかと思います。でも黄緑色になるころには傷んできてたり花茎全体の花の色バランスがお厭なら黄緑の花になり次第一輪づつ摘み取っても構いませんよ種子も取らないことですし。ただし、段々見た目はスカスカになるでしょう。スカスカが見栄えが悪い様なら黄緑の花が萎びるまではつけておくと良いです。花がどのくらい残っている時点で根元近くの花茎を切ってしまうかは、ご自分のお好み次第。段々みすぼらしくなって来ればまだ花が残っていても早々と切ってしまう人もいますし、一輪一輪が愛おしくて咲かせられるまで咲かせる人もいます。ただ、親株の体力の消耗と言う点を第一に考えれば、小さな花しか咲かなくなったらもう諦めて花茎を根元近くから切ってしまった方が良いでしょうね。
数年か経って株が沢山増えれば花茎も何本も伸びてくるはずです。まだ株が若いでしょうから、出来れば遅くまでは咲かせない方が良いのでしょうが、それはご自分のお考え次第で。野山草の貴重な物や珍しいものだと不測の事態の事を考えて、まず株を少しでも早く増やすのを最優先させたいと考える人であれば購入してすぐ花茎を切ってしまう(切った花は飾って楽しむ)事もあります。でも、ダイモンジソウなら容易に増える物が多いので、そこまでせずとも購入後花を楽しんで、それから自然に徐々に増えてくれるのを待つくらいで良いと思いますよ。

younima 2014/10/29(水) 08:47:42
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詳しく教えていただき、ありがとうございました。


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