虹色スミレの夏越しは可能?

[園芸相談センター]の過去ログです

ミュー 【関東】 2010/07/17(土) 21:20:39
種から育てていた虹色スミレを3株ほどプランターに残しておきまた。
そのうちの一株がかわいい花を咲かせていますが、これをそのまま夏越しすることは可能でしょうか?

そのためには花をとってしまったほうがよいですか?
又、万が一可能な場合肥料や今後の管理はどのようにしたら良いでしょうか?

それともたとえ夏越しできた場合でも再度冬にこの株を育てて行くのは無理でしょうか?

鉢は南側の屋やすずしい場所に置いています。

よろしくお願いいたします。

ばんざいうさぎ 【北海道】 2010/07/17(土) 22:08:59
虹色スミレというのは、おもちゃ会社のタカラとコラボして販売されているリカちゃんシリーズというブランド名が付いたパンジーの事ですよね?検索してみると詳細が沢山ヒットします

元々パンジーやビオラ(この場合はパンジーとほぼ同種で花弁が小さいものを指す)の品種のひとつですので、残念ながら関東だと夏の暑さに耐えられず一年草扱いに成ってしまうんです。元々北方系のビオラ(こちらはスミレ科の植物の学名の方)複数の原種を異種交配・改良したものなので北海道や東北くらいなら宿根することもあるのですが、普通は梅雨時期が過ぎれば夏の暑さに耐えられず不調に成って枯れてしまいます

大きく茂って茎が長くなりやすいビオラタイプのものなら、咲くのが少なくなってきた時点で半分の長さに切り詰めると新しい芽が出てきてまた咲いてくれるのですが、お持ちの虹色スミレは一度も切り戻ししていませんよね?(確か、巨大輪のパンジーよりは草丈が高いと記憶していますが・・・)

残念ながら、今時期から切り戻しても遅いかと思います・・・。芽が出てくるよりも、暑さで体力消耗してしまうでしょう・・・。また次の販売時期に苗を買うしかないのです
虹色スミレは最近では種子での販売もしていると記憶していますが、自家採取した種子だと親と違う株が出る可能性が高いです。種苗会社ではブランド品種の苗の場合は栄養増殖で殖やすのと、ブランド品種自体が一代交配で作られたものが多いため、自家受粉させるとその種子からは色や模様が崩れたり親と似ても似つかない先祖がえりした花が咲きやすいです。虹色スミレの市販されている種子も、一代交配状態で作られた可能性は高く、市販種子ではちゃんとした花が咲きますが、それから更に種子を採っても性質が固定化されている可能性は低いです

関東で夏越しさせて毎年楽しむというのは、普通に売られているパンジーやビオラでもほとんどがかなり難しく残念ながら虹色スミレの場合でも毎年新しい苗から花を咲かせなければならないんです

ただし、他のパンジーやビオラで良ければ「宿根ビオラ」という系統がありそれは関東でも夏が越せますよ。花弁の大きさは虹色スミレと同じくらいのものもありますが品種により色や大きさ・形はさまざまです

また、パンジーやビオラに拘らなくて開花時期が短くても良いのなら、他の種類の外国のスミレで夏も冬も楽に越すものは多いですよ
葉が黒っぽいビオラ・ラブラドリカや、いろんな花色の品種が豊富なビオラ・ソロリア、香りがとても良くて花を食べる事も可能なニオイスミレも丈夫で良く殖えます。ただしニオイスミレの黄色系のものは元々匂いが無い性質なのと、紫色の品種の中にはビオラ・ソロリアと異種交配されて改良の為匂いが無いものがあります。花が似ているのでビオラ・ソロリアの紫色のがニオイスミレと間違われて売られている事も多く、「八重咲きニオイスミレ」として売られているものは、ニオイスミレとは違う種類で耐寒性が弱いので、ニオイスミレを入手される時は必ず匂いがするか問い合わせるなどしてご確認下さいね

ミュー 2010/07/18(日) 05:44:42
ばんざいうさぎさんありがとうございます。

花の終わりに切り戻しをしていますのでかなり小さい株になっています。

花後に袋をかぶせて種を沢山採取したので試しに3株残して涼しめの
場所に置きました。

一つだけ小さいながら葉も少しあり元気なのでそのままにしていました。

この暑さでも花が咲いたので珍しいと思い質問しました。

これからの暑さに耐えられないかもしれませんが、もし管理次第で残せるものなら。。。

ばんざいうさぎ 【北海道】 2010/07/18(日) 16:09:44
最初に蒔いた種子は市販のものですよね?だとすると種子はおそらくF1の状態に作られたものでしょうから、お育てになった株自体はちゃんと虹色スミレ本来の花色で咲いたものと思います。もし万が一虹色スミレの親株から自分で採った種子だったり、自家採取したのを誰かにいただいたのなら、その時点で今の株は「虹色スミレ」というブランドのパンジーではありません。ただのパンジーの雑種となります。詳しくは下記に・・・。

一度切り戻しをされているのですね。それなら株の消耗が進み、これから暑さもより暑くなるので開花シーズンはもう終わりに成るでしょう。関東でも奥多摩みたいに標高が高くて日当たりが良くても環境自体が涼しいなら管理次第ではまだ返り咲く可能性もあるでしょうが、関東でも平地だとアスファルト舗装やコンクリート作りの建物などがあると外気温が高めになるので難しいです。ちなみに北海道の札幌でも以前私が住んでいた中心部から少し離れた所(アスファルト道路やコンクリートの多くない所)や、今住んでいるまわりが畑ばっかりで浜風が届く様な土地なら秋まで咲いてくれます。この辺でも人工物が多かったり風通りの悪い住宅密集地、内陸の盆地だと秋まで持たないです

お庭に置いていますか?マンションのベランダの様な環境でしょうか?パンジーやビオラは日当たりを好む植物です。茂りやすいので風通りも必要です。お庭で木陰など半日陰になって常に風通しが良ければ徒長しながらでも株が弱らずに咲くかもしれませんが花は確実に小さくなり色も薄くなります。昔パンジーを日陰で育てた事がありますが酷いとパンジーのはずなのにビオラよりも小さく濃い色の品種のはずなのに白っぽく淡い色合いで咲いた事もあります。また、そういう環境に置けても関東の場合は昼夜の気温差が無く周囲の外気温自体が高めなので弱って枯れる可能性は大です

北方系の植物を、本来自生する事が無い夏が過酷な環境で生き残させるというのはとても大変な事なんです。南方系の植物を冬が過酷な環境で生き残させるよりも難しいです。熱帯の植物を冬の北国で育てるなら温室などで暖房を効かせ空気を循環させれば日差しは少ないものの(日が低い位置で日照時間が短い)どうにか日光は足りますので育てられ、高温は上に登りますので条件が良いと日中は無暖房でも大丈夫ですが、元々寒地に生える耐暑性の植物を夏の暑さから避けて生き残させるとするには、日光を確保しながらではかなり難しいですよ。どうしても外気を避けるための人工的な設備が必要になり、24時間涼しい空気を循環させて冷やす事自体が暖房よりも維持費がべらぼうにかかります(北方は真夏でも夜は涼しいのですが本州の熱帯夜というのは北方系の植物だと根も含め全体から弱らせます)。個人レベルで日陰や風通しの良い場所を確保する事は出来ても、夏の日差し自体が日が高いので周りの建物に蓄熱し周囲に高温を産みやすく、結果パンジーやビオラなど充分な日光が必要とする植物だと涼しさを優先させてしまえばどうしても日光が充分に確保できません。日光を優先させれば涼しさが保てません・・・。
例えばヒマラヤ原産の「幻の青いケシ」というのがあります。日本では花を咲かせるのは困難とされ、かなり昔の某花博で展示されとても話題になりました。でも、入手しやすくなってからは北海道では種類によっては何の手入れもなく簡単に育ち花が咲きます。これは本州の暑さ環境に植物が耐えられなくて弱り株自体が生き延びても滅多に花が見られないからで、北海道の夏の気候なら夜の涼しさもあるのでどうにか花が咲くまで耐えられるからです。ちなみに昼夜の気温差と言うのは花色を鮮やかにする作用、野菜や果物なら糖度をあげる作用があります。北海道で栽培した花が綺麗で長持ちする、野菜が美味しいという評判はこの気候があるからこそなんです。
植物園の設備の様に屋外の外気から隔離して冷房を常に循環させることの出来るガラス温室でも無い限り、これからどんどん暑くなるのですから、かなりの設備投資をしない事には管理自体が難しいでしょうね・・・。

それと、株から種子を採ってしまっているんですね・・・。普通、パンジーやビオラは一輪の開花が終わったものは種子を付けさせない様にと花が萎れた時点でガクの下から摘み取らないと、実に株の体力を奪われて消耗させてしまい次の蕾が付きにくくなります。結果一株が本来咲かせることが出来る花数よりも大幅に花が減ってしまうんです・・・。株に実を付けさせると養分は実の方にと優先されてしまいます。また、実を付けることによってパンジーやビオラは「種子を作る準備が出来たからもう花はあまり付けなくても良いんだ」と、新たに作られるべき蕾を作らなくなってしまうんです。人間に都合よく花期を長く作り変えられたビオラ類の園芸品種というのは、元々開花する花の後に新たに付く「閉鎖花」という開花せず自家受精して結実する性質の実を、「無理やり出来なくさせて代わりに花が咲く蕾を多く付けさせる様に」と性質を捻じ曲げて作りかえられたため、その栽培条件を崩してしまうと園芸種としての優れた性質は保てられなくなります・・・。そのために花後は実に成る部分からこまめに摘み取らなければならないんです。つまり「株が元気で花を長く楽しみたいなら実を付けさせてはいけない」と言う事です

また、採った種子も自家採種だと親株と同じ性質になる可能性が低いため、種子を採ってしまったがため株の体力を消耗させた上に、蒔いた種子から出来る株は酷いと、一輪の花の花色や模様がぐちゃぐちゃに混ざって観賞に耐えられないものも出来るかもしれません。虹色スミレでは有りませんでしたが我が家で、昔他のF1品種でやってみて体験済みです。咲かせてみると観賞に耐えられないような変な花が沢山出来てほとんど捨るしかなかったのです。土や肥料などお金をかけたのが咲いてみたら出来たのが変なのばかりというのはかなりガッカリしました。
パンジーやビオラは交配や改良が複雑で、最近では何代も交配させ選抜する年月がかかり面倒な固定種を作らないため、市販の苗や種子が固定品種の名前でない場合(特にブランド苗やF1)自家採取種子での実生苗だと雑種に成った花が咲く事が多いのです

お採りになった種子は蒔けば芽が出て育つでしょうが、おそらく固定品種ではありませんから親株の色合いと似たものが咲くとは限りません。試しに育ててみるのは良いですが、花色などは期待しないで下さいね。私の体験とメンデルの法則の規則性などから、性質が劣ったものや先祖がえり(紫色の小さな花など)したものが多く出る可能性は大きい為、虹色スミレと同じものとは考えずに比較的花の良いものだけを残して楽しみ、その株からはもう種子は採らずに、マメに花殻を摘んで花を多く付けさせて楽しむと良いです。パンジーやビオラの場合はF1からの自家採取種子から何代も繰り返し種子を採っても優れた花が咲く事は稀で先祖がえりの地味な花が多くなりやすい傾向がありますので。
次回からは虹色スミレの種子を買って蒔いて育てるか、市販の苗から好みの色合いのだけを購入されて楽しむのが良いかと思います

原種に近い方のビオラ類でも、近くに異種を植えると虫が受粉させて割と簡単に自然交配する事が多いのでご注意ください。ただし、普通の花の開花後に花も咲かないで付く「閉鎖花の実」という大きな実は、親の性質をほぼ100パーセント受け継いでいるクローン体に近いもので、その実の種子からは必ず親と同じ花を咲かせます。閉鎖花からの実を付けることが無いパンジーやビオラと違って、開花したものでも交雑さえさせなければ種子を蒔き育てるとほぼ親と同じ花が咲きます(時々変異する事もありますが・・・)。我が家では沢山ビオラの原種があり異種と交雑したり、変異で出てきた変わった色や咲き方のものが見つかる事もあり、それも栽培の楽しみの一つ。日本で出回っている西洋種の原種はどんなに暑くても寒くても耐えられるものも多くて育ちやすいのが気に入っています
そんな、今までパンジーやビオラでは出来なかった楽しみ方が出来るのも最近の原種ビオラ人気の一因だと思います


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