豆苗の収穫のしかた

[園芸相談センター]の過去ログです

りっぷ 【四国】 2013/12/11(水) 14:55:24
秋に蒔いたエンドウ豆が、今40〜50センチくらいになりました。蒔くのが少し早かったのと、秋の温かさのせいで、どんどん育ち、花が咲いてる苗もあるのですが、もう、花が咲いたら固くなって、先っぽを豆苗として食べることはできないでしょうか。売っている豆苗は、特別な豆の先っぽなんでしょうか。時々中華料理で見かけるくらいで、豆苗の収穫の仕方がよくわからないので教えてください。また、花が咲いても、春まで無事に冬越しすることは可能でしょうか。十分ではないですが、わらで寒さ対策はしてやっていますが、、、

ばんざいうさぎ 【北海道】 2013/12/12(木) 01:00:38
元々豆苗の収穫は普通に育った物の芽先を少し摘む程度、長めに摘まなければ問題なく食べられると記憶しています。目安としては新芽から葉を2〜3枚付けて摘めば良い様です。土で栽培し摘んだ物は市販の水耕栽培の苗の物(スポンジ状のシートに豆を並べて発芽させている)よりも香りも味も濃いそうです。水耕栽培物は手軽に何時でも沢山栽培できる為に日本で普及しているだけで、本来は育っている株から摘むのが本当の豆苗で、芽は株からだとどうしても少ししか採れないので摘んだ物は高級品なのだそうです。

天芽を摘んだ後は脇芽を伸ばしていけばまた摘めるはずです。脇芽は長目に(葉を何枚か残しておく)伸ばしておいてから摘むとまた途中から脇芽が出てきます。
芽先を食べるなら花は小さな蕾が出てくるたび皆摘んでしまう方が良いでしょうが(花に養分を取られてしまう)、花が咲きはじめたから芽先が極端に硬くなるという事は無いと思います(ただ放置して何本も咲かせ続けていれば芽先への養分が確実に減るので硬くなるかも)。
株は芽先を収穫する場合豆苗を収穫する専用の株と考え、花を咲かせ莢や豆を採るものとは区別して育てて下さいね。(天芽・脇芽を摘むと新しい蕾の数が減るので)
肥料は豆苗収穫専用の株だとリン酸を多く必要としないので(リン酸は花・実の為の養分)リン酸低めの、葉野菜などに使う物でも良いでしょうが、多用は香りや味を悪くし、質が軟弱になり害虫が付きやすくなるので与える量や回数にはお気を付け下さい。

中国などなら元々から豆苗専用の品種などもあるのかもしれませんが日本では一般向けに売られていないと思いますから(日本の豆苗生産地には農協などが生産農家対象に配布している改良された品種があるのかも。でも、あっても一般には出回りません)市販のと比べて味の違いが目立つほどかどうかまでは解りませんが、普通に食べる分には問題ないと思います。
ただ、市販の水耕栽培のは種子から暗い所に置きモヤシの様に伸ばしておいてから途中から日に当て緑色にするらしいので、それと比べるとお日様に直接あたって育っている分だけ少し歯ごたえを感じるかもしれません。(「苗の状態で食べる」のと「摘み菜で食べる」違いから)

市販のエンドウマメ種子は、普通莢から食べる目的で売られる為に種子に薬剤が塗布されていたり浸みこませてある事が多いので株が幼いうちから芽先を収穫したり、水耕栽培に市販の種子を使って自分で栽培する事はしない方が良いでしょう(普通他のスプラウト野菜の栽培も無農薬種子使用です。アルファルファやブロッコリーなど無農薬で種子数が多いスプラウト専用種子が販売されています)。でも今回くらいまで育っている大きさの株なら薬剤はほとんど人体に影響ないと思います。

ご自分でこれから水耕栽培や屋外栽培で豆苗向きの品種を育ててみたい場合、市販品の水耕栽培豆苗から株を育てて種子を採り、その自家採取の種子から栽培すると特に水耕栽培の場合は薬剤の心配が無く安心です。ただ、もし元の品種が一代交配物だとすれば、次世代からの種子の性質や育ちに確実にばらつきが出ますので予想がつきます。
市販の水耕栽培の豆苗(なるべく短いあまり育っておらず瑞々しいもの)を1パック買ってきて綺麗に洗ったキッチンハサミなどでシートの部分を、少なくとも苗が5本づつ以上集まっている状態で切り分けて、土に植え水を与えておくと育ってくれる事があります(割り箸3本くらいで支柱を立てヒモで支えても)。切り分ける時にどうしても根が傷むのでビニールポットなど1つにつき5本分づつ植えて様子をみていき(徐々に日光に慣らしていく)、途中で弱ってきたもの(根が切れて少なすぎるので枯れる)を根元から切って取り除いていきながら根ぐされさせない様に気を付けて管理し(スポンジが付いたままなので)、最終的に生き残った1本を育てて定植し(根元がどうしても弱いので早めから一株一本支柱を立てて軽く固定しておく事)、巻きひげが出てくればネットに絡ませあとは通常の育て方で管理すれば、普通の栽培よりは劣るかもしれませんが種子がいくらか採れます。その種子から次の種子取り用に見た目が同じで立派そうな種子をいくらか残しておき、翌年その種子を普通に蒔いて栽培。
苗はビニールポットで管理し、特に育ちの良い株は種子取り用として別の場所に一株づつ出来れば離して定植し、病害虫に気をつけ(市販の様に初期の防除の薬剤を種子に付けられていない為)肥料は適切に(特にリン酸を不足せず多すぎずに)与えておけば生育中順調に育ち今度は沢山の種子が採れます。(栽培時に使う農薬成分はあまり種子内に残留しないので、過度に使わなければ問題ありません)。
そうやって種子の選抜を何代か繰り返すと栽培時の特徴が揃ってきます(性質の固定化と言います)。まさにメンデルの法則の実施で場所が広く取れるなら種子の色やシワの有無など外見違いでグループ分けしてそれぞれ栽培していくと、特に優れたグループが見つけられると思います。

豆苗用の品種のを莢や豆の収穫目的で栽培すると大きさも形も味も劣るかもしれません。でも、もしすでに固定化されている種子であれば豆苗用として収穫すれば確実に美味しい物が出来ると思われます。

もし種子を採る場合は、豆苗の品種が国内で品種登録されている可能性があるかもしれないので、採った豆や栽培している状態での他の人への譲渡や販売は避けて下さいね(収穫もご家族で食べる分にとどめましょう)。ご自分で楽しむ為に栽培する分には問題ないはずです。

現在育てられている普通のエンドウマメでも、種子袋に一代交配(F1品種)と書かれていなければこれから豆苗用に種子を自家採取するのも良いですよ。一代交配ではなさそうでも、できれば同じ見た目の良さげな種子を選んで蒔いた方が育ちは揃いますが、結構大きさや味に差が出易い莢や豆目的では無く、芽先を豆苗として食べるので家庭で食べる分にはさほど気にするほどでもないと思います。

種子の採り頃は豆が太っていき莢の表面の色が黄色っぽくなりシワが出てくれば種子は完熟しています。豆を充分乾燥させ、豆が湿気ない様に保存しておけば、室内で水耕栽培が出来ます(発芽・育成条件を揃えられれば何時でも作れます)。
豆苗の水耕栽培の方法については他のスプラウト野菜の栽培に準じると良いですよ。市販の水耕栽培の豆苗は根もとから4〜5センチの所で切り、水を与え窓辺で日に当てておくとだんだん数は減りますが3回くらいは収穫でき汁ものの青味に使えます。うまく育てれば家庭でも同じ様に育てられるでしょう。

冬越しについては、北海道ではエンドウマメ栽培は春に種子蒔きする為アドバイスが出来ません。他の方がお答え下さると良いのですが・・・。

りっぷ 【四国】 2013/12/24(火) 11:56:38
ばんざいうさぎさん、詳しいご説明、ありがとうございました。そうこうしているうちにも、畑の豆はどんどん育ち、今は小さな花をたくさんつけています。でも、さすがに寒さのせいで、豆にはならず、いくら四国といえども、1月2月の寒さをしのげるのでしょうか、、、、心配です。ところで、前の質問の時は気にしていなかったことが、ばんざいうさぎさんのお答えで、気になりだしました。それは、豆にかかってい薬剤のことです。普通に袋に入って売られている、きぬさやを採るための豆です。50センチくらいに育って、その先端を食べるのだったら、豆の薬剤は気にしなくていいのでしょうか。豆もやしのもやしみたいに、芽が出て間もない時に食べるのは厳禁ですよね、何センチくらいに育ったら、薬剤の影響は心配しなくていいのでしょうか。よろしくお願いします。

ばんざいうさぎ 【北海道】 2013/12/24(火) 17:53:18
種子消毒の事を少し調べてみたところ、生育初期の病気の予防が目的で行われていると書かれていましたので、市販の種子を使用していても蕾が付くぐらいまで育っているのであれば処理の薬剤の効力はほとんど失われていて問題ない様です。やはりモヤシ状態ほどの幼いものだと薬剤の濃度はまだ濃いままでしょうね。
やはりこの点がどうしても気になるのなら、国産で無農薬・無処理の種子を購入して蒔くか、自家採取して毎年育てるしかないでしょうね・・・。薬剤処理されていない分、初期の病気が出易くなるリスクは避けられないと思います。
そういう点もあって前述で、自家採取の種子なら丈夫な株から代々種子を取って強い物を選抜する事をお勧めしています。キヌサヤも食べるなら莢の大きさなどの特徴も合わせて優良なのを選ぶ事になりますが、豆苗専用なら莢や豆の特徴が小さくても、ともかく病害虫に強くて生育が良い性質のを選んで固定化していくのが良いでしょうね。

植物は縁遠い掛け合わせで出来た個体ほど性質が強い事が多いのですが市販の一代交配の種子では自家採取種子の性質がバラバラになります。固定種でも特に優れていなければ病気の心配はあります。可能なら自分で毎年異品種の人工交配をして自らのオリジナルの一代交配種種子を作り、その種子を蒔いて育てれば(もちろんその株からは種子は取らない)無農薬でも初期成長が丈夫な物が育つかもしれません。
例えば日本の在来品種や性質が固定されている品種を片親に、外国由来の系統品種とかけ合わせるのも良いかもしれません。日本で販売されている‘仏国大莢’‘オランダ大莢’などや、海外の種苗会社が売る種子は優れた性質が多いのでこれらを入手して交雑させないように管理しながら(花の咲く時期が同じもの同士を雌蕊と花粉が熟ししだい人工交配、花柄に目印を付け虫が来ない様に花びらは取り除いておく)自家種子を採って、それを蒔くのです。明らかに系統や性質の違う物同士を人工交配させて種子を摂れば両親の良いとこどりの丈夫な性質の種子ができます。蒔く前に種子の大きさ・色・しわの有無などデータを取っておいて特に育ちが良かった物とそっくりな種子を次回交配で出来た種子から選んで蒔きます。毎年同じ親の掛け合わせから種子を採っては優れた特徴の種子だけを育てるのです。毎年同じ掛け合わせで一代交配を作るか、出来た物を固定化するかで初期生育が丈夫な性質に出来ます。
畑地が広くて両親株をそれぞれ離して植える手間があるので(両親株と収穫株で最低3か所必要)、よほど興味のある方で無いと手間になるので難しいかもしれませんが・・・。
外国種でも「ツタンカーメンのエンドウマメ」だけは使わない方が良いです。元々食用とされる系統では無い様で莢は赤黒くなり固めに感じる上に、葉や茎もあまり旺盛には育たないので豆苗にも向かないと思います。赤紫の豆でご飯が赤紫色になる豆ごはんを焚く人もいますが、美味しいとは言えずどちらかと言うとあれは鑑賞用です。ツタンカーメンの墓の調査で作られた埋葬物リストには豆は書かれていないそうで由来からして疑わしい物です・・・。

種子表面に使われている薬剤処理は会社の指導や種子生産国や生産者によって実際使用している種類や量がそれぞれ違う様なので、具体的に何センチから薬剤の影響が無くなるかというのを知るのはおそらく無理な事でしょう・・・。
詳しくお知りになりたのならば種子販売の会社に袋の品種名を述べて問い合わせ、処理法と薬剤名と共にどのくらいの期間で人体に影響が無くなるかを教えていただくしかないでしょう・・・。それでもあくまでも会社指導が正しく行われていればの話になります・・・。その時に、生産国や生産者が何処かを特定する為に袋に書かれている自社処理記号などを聞かれる事があるかもしれないので、問い合わせ出来るのは種子袋がまだ手元にある事が前提と成るでしょう。
お使いに成っているサヤエンドウの品種の市販種子の場合は解りませんが、現在大手の種苗会社から販売されている野菜種子のほとんどが外国で生産されています。市販種子袋の下の方に書かれていて、オランダとか中国などが生産国と成っています。

日本国内での種子生産は栽培の土地が狭すぎて近くで栽培されている交雑可能な他の野菜や他品種との交雑のおそれがあるので、広大な広さが確保できる土地が必要なのだそうです。日本なら北海道で生産されるものもありますが、北海道では気候的に難しかったりで外国で委託栽培契約を結び、「○○村ではこの科の野菜は種子生産のこの品種だけを栽培すること」と言う様な厳しい指導で種子生産させているのだそう。一応栽培時に使用する薬剤などは指定する様ですが現地での監督がよほどしっかりしていないと指定以外の薬剤を使われたり量を多く使われてしまう事もあるようです。
日本に持ち込む時点で国の植物検疫を受けなければならないので、無農薬での輸入は難しく外国生産種子には輸送中に害虫が付かない様に生産国で薬剤処理がすでに行われている可能性はあるでしょうし、国内に入ってから改めて会社の方で病気対象の種子消毒が行われていると思われます。

りっぷ 【四国】 2013/12/27(金) 10:11:41
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ばんざいさん、ありがとうございました。


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