じゃがいもの種イモについて

[園芸相談センター]の過去ログです

園芸大好き 【九州】 2013/02/10(日) 00:45:52
 毎年、春に種イモを買って、じゃがいも作っていましたが、昨年は残った春じゃがいもを種イモにして秋じゃがいもを作りました。結構出来がよく収穫できました。

 ここで質問ですが、昨年の春じゃがいもの自家製種イモで秋じゃがいもが収穫できたので、この秋じゃがいもを種イモにして春じゃがいもの栽培ができるのでしょうか。まだ、昨年取ったばかりの秋じゃがいもで、芽が出る気配もありませんが、植えてしまえば問題はないでしょうか。ご指導お願いします。

 それと、よく分からないんですが、種イモとは昨年の春のじゃがいもを保存し消毒・殺菌したものなんでしょうか。秋じゃがいもでも種イモになるのでしょうか。

 ちなみに、じゃがいもの品種はメークインです。
 

ばんざいうさぎ 【北海道】 2013/02/10(日) 01:51:18
買った種芋を植えてご自分の家で収穫した芋を使っての、次の栽培は可能です。ただし、何回も繰り返していると早くから病害虫に罹り易くなってしまったりウイルスに感染してしまったりで良い芋が取れなくなる場合もあるので(芋の食味が目立って悪くなる事も)、収穫した芋を種イモに使うのは1度くらいにしておくのが無難です。

昨年買った秋ジャガイモというのは種イモ専用で売られていた物ですか?それとも食用に普通に売られている物ですか?食用に売られている物の中には発芽抑制処理がされた物があり、これを埋めても芽は出てきません。

種イモ専用に売られている物は、収穫後に消毒・殺菌しているのではなく、芋を土に埋めて芽がでてから何度も何度もいろんな種類の農薬を散布して(食用の芋の農薬の規定より回数・量はかなり多くします)生育期から消毒・殺菌剤を芋に残留させる様に作っています。散布の年間回数や散布濃度は厳しく決められており、許可を持った農家だけが種イモを作れます。
つまり、種イモとなるべく育てられる芋は芽が出てから地中に新たな芋が出来るまで「農薬漬け」にされていると言う事。でも、これは種イモが植えられて芽が出てからしばらくの間しか持たない様に濃度が調整されているので収穫時した芋にまで残留する事はありません。この残留させる方法で栽培初期に起きやすい病害虫を防いでくれていると言う事なんです。
実は私は種イモしか作っていない地域の近くに住んだ事がありまして、知り合いの種芋農家さんからこの話を聞きました。普通の食用芋よりすごく手間がかかるので北海道では一件だけで作る事が難しく、どこも数件で農業団体を作り経営、共同で大型農機器を所有し、お抱え整備士もいます。
「種イモは毒だから食べたらダメだよ」と言われました。芋内にわざと薬剤を残留させているからです。
種イモを購入なさる時には多く買わず必要な数だけ、余った物は他に植える場所が無ければ間違って食べない様に速やかに捨ててしまいましょう。

園芸大好き 2013/02/10(日) 12:31:19
 ばんざいうさぎさん、有難うございます。
 種イモは、すごく手間がかかったものなんですね。それも消毒・殺菌剤を芋に残留させる様に作っているなんて知りませんでした。

 昨年の秋じゃがいもは、私が作った昨年の春じゃがいも(種イモは買った物)の余りを植えたものです。一度使った種イモを二代に渡って使うのはダメなんですかね。昨年の秋じゃがいもが沢山あるので、使いたい気もするんですが、やはり、病害虫や食味にも影響するんですか。

ばんざいうさぎ 【北海道】 2013/02/10(日) 22:45:06
自家栽培のジャガ芋を二代に渡って使用すると、やはり病害虫に罹り易くなるリスクが大きい事、自家栽培物だと芋自体が段々小さく成り数も減り易く、希望していた量の収穫が望めない可能性があります。
種芋は薬剤をたっぷり溜めていますが、もちろん養分も自家栽培では出来ないくらいたっぷり与えられ作られます(これは栽培する目的が食用では無いから出来る)。その芋での栽培は多少栽培環境が良くなくても平均の収穫が保障されている物。その時取れた芋は栽培時の施肥次第では割と良い芋が収穫出来たものと思われます。
でも、「市販の種芋」と比べれば一般家庭での貯蔵を経験しているだけに芋の体力は消耗しています。次の植えつけで種イモとして使うと次の収穫された芋はうまく行けばまあまあの量かと思われますが、プロではない人の栽培では予防に農薬を使わない分、目に見えない病気の菌などが入り込んでいる可能性も多く、次の収穫に影響が出てきやすい。酷いと疫病で惨憺たる有様に・・・。

人間が食用や観賞用として改良してきたどんな球根植物にも言える事ですが、球根の肥培を行わないで繰り返し植えていると病害虫に罹り易くなる物、野生に返ってきたりで大きさも量も品質も徐々に劣ってくるものなのです。その中から性質的に頑強な個体が出てくる事はあっても、改良された品種ほど人間にとって優れてはいず、平均的な収穫は望めなくなります。植物だけでなく家畜もそうですが、一度人の手で作り変えられた自然界に存在しない性質の生き物は、人に適切に扱って貰えないと性質が弱くなりやすいため、遺伝子の中で眠っていた野生に帰ろうとする力が出てきやすい。それは決して人に都合の良いものではないと言う事です。豚が野に放たれれば段々イノシシに近い見かけに成る、当地で野生化しているミンクも、サファイアブルーと言われる綺麗な色艶の毛皮の個体が野に逃げれば徐々に黒い毛に変わり数年経てば真黒に。
こういう現象は人間が偶然出た特徴を強める様に改良し、人間から見れば都合の良い珍しい特徴が、生き物から見れば遺伝的に身体が弱くなる、自然界では保護色にならないので段々消えていくのです。

たとえばジャガイモやトウモロコシの原産地では今でも芋は小さくゴツゴツで収穫は少ないですが味は良く病害虫にはかかりにくいです。トウモロコシも小さく実がまばらにしか付いていませんが味はいい。これは目立った改良をせず栽培している為。現地の人は自家消費だけで売らないし季節により植え場所を替えるので、別に大きくも量を多くもしないで良い為。そして、加工しての保存方法を確立し食べ方も工夫しているので、食べきれないほどを作ったりはしません。
文明国で作られる作物は沢山採れるほど良いという考え方が一番で主目的以外の使い方に対応できません。(食べて無くなる前提で作られた物を食べずに栽培に使うと質が落ちる)うまく育てられるのは1〜2代までという作物が多いですね。

人の手が作り変えていない作物で食べる目的では無い物だと代々の植え替えはあまり問題ないのですが、すでに改良し尽くされた食用目的で平均名収穫を目的にしているものでは、できれば毎年購入する、少なくとも自家収穫は1〜2代に留めるのが良いのです。
そちらでは春に植える秋ジャガイモは春ジャガイモよりも平均多く収穫できるのではないですか?(ちなみに北海道のメークインは秋ジャガイモのみ)自家消費が追いつかないほどは作らないように作付時期に数で調節して、食べきれなかったから種芋として使うのはよして、春ジャガイモ用の種芋を買ってきて植えつけることをお勧めします。
いつもより豊作過ぎて取れる量が多すぎた時には、どうにか工夫して自家消費なさるか(北海道では芋の食べ方が沢山あるので余る事はありません。ジンギスカンに入れて焼いたり、味噌汁の具の他に、それでも余ればご飯代わりに芋餅や芋ダンゴにして食べますから)、近所に配ってしまうのが、芋の使いまわしをせずに毎回良い芋を作る為には大事と思います。

園芸大好き 【九州】 2013/02/10(日) 23:39:23
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 ばんざいうさぎさん、丁寧な説明をいただき有難うございました。

 私は、素人ながら色々な種類の野菜や花を作っていますが、できるだけ種を作って来年の栽培に使っています。しかしながら、花の種は割といいんですが、野菜になると一代雑種やら改良されたものの種は使えませんから簡単にはいかないですね。
 種イモについては、よく分かりました。有難うございました。


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