アスパラガスの栽培適地

[園芸相談センター]の過去ログです

かずくん 【関東】 2009/09/01(火) 13:31:32
アスパラガスの種をポットに蒔き、30cm位になりました(100本以上あります)。そろそろ畑に移そうと思います。予定地の東側は結構高い潅木の林があり午前中は日陰になります。こんな場所でも大丈夫でしょうか?それとも一日中日のあたる場所のほうが良いでしょうか?(住まいは埼玉県です)

ばんざいうさぎ 【北海道】 2009/09/05(土) 16:33:16
アスパラガスは芽を食べる野菜ですね。本来出てくる芽のうちの半分以上は人間に採られてしまうため、アスパラは前年の生育期どれだけ日光に当たって光合成し根に養分が貯められたかによって育ちや収穫に影響がでます
私の住む地域は北海道でも古くからホワイトアスパラの産地として知られ(缶詰にして海外に輸出していた)今ではグリーンアスパラを栽培している農家がかなりあります。アスパラ畑はできるだけ日光が葉に当たる様にと近くに日光を遮る様なものがない場所に植えられ、今は巨大な株がまるで低い針葉樹の林の様に畑で茂っている状態です。大抵の農家は東側や南側に何も遮るもののない良く日のあたる場所に植えます。西や北に遮るものがある畑はありますが、貴重な日中の日当たりはできるだけ多く株に当たらせようと考えられた配置です。
ただ、うちの親戚で昔からアスパラ畑があるものの市街地に近い為に周りを家に囲まれてしまって畑の狭いアスパラ栽培には必ずしも最適ではない農家では、取り始めてまだ3〜4年くらいの株が古くならないうちに採りつくして土ごと起こして始末してしまいます。何時も次の年には収穫できる新しい株がある様にと何か所かに区切って苗・生育株・現在収穫中の株という年齢の違うアスパラを輪作しています。どうやら株を大きくしても環境に恵まれず日照不足で、普通の栽培法では大株になるほど勢いが落ち年々収量が次第に減るために、まだ若くて堆肥分も充分な株の勢いが良いうちに沢山採っては早めに株を更新し処分してはその場に苗を植えるという効率を一番に考えた一種の株の使い捨ての様な栽培法の様です。その方法は日光がたっぷり当たる畑の余所の農家ではほとんどやらない方法です
でも、この方法だとどうしても畑の面積の限られる家庭菜園レベルでは実践できる方法ではないですよね・・・

結局は、春の収穫期は日あたりが悪くても茎が伸びて葉が茂る時期には太陽の角度の具合で日当たりがかなり改善される環境であるならあまり問題はないかと思います。
例えば、我が家では鳥がアスパラの赤い実を食べ落としたフンに未消化の種が混ざるので糞から生えたアスパラが春先イチイの植え木の下枝の茂みの根元など結構暗い所から生えてきて黄緑色のアスパラが採れます。でも夏ころまでには残しておいた茎が伸びてイチイの下枝よりもかなり高くなるのでその時に来年分の養分が葉の光合成で根に充分貯められるようで毎年太い芽がもう10年くらいも毎春に出てきます。
市販のものよりも太くて全く手入れなくとも木に止まる鳥の糞を肥料に大きく育つのでそこらに苗が生えて来たら抜かずにおいて数年、そんなのが庭のあちこちに生えてきて春は食事前に庭を一周すれば太いのが20〜30本ほど生えていて、究極の有機無農薬の採れたてを茹でて食べられます。その辺の空地でも日当たりのよい場所なら普通に野良アスパラが雑草と生えていたりします

家に近い畑が東側に林のある場所だけなら、苗が用意してあるのでもうそこに植えるしかないでしょうが、もし苗を用意していないのなら私なら別の作物を植えるでしょうね
もし家の近く日の当たる畑が、今年はアスパラの植え付けが無理でも来年は可能なら、私なら今の苗を今よりも大きなポットに植えかえておいて、来年の春に苗を植え付けると思います。今植えてもまだまだ芽が食べられるまでは数年待つわけですから、来春までポットに植わっていてもそんなに変わりはしません。当地では花屋などがもっと育った根の太い苗(おそらく3〜4年はたった苗)を春に根がむき出しの抜き苗の状態で家庭菜園向けに販売します。アスパラの根むき出しの裸の苗を売るのはもしかするとこの地方独特の販売法かもしれませんが、そのくらい育ってからの移植も可能なんです。もちろんこちらが栽培には最適だからという理由もあるのかもしれませんが、本州からの珍しい品種を取り寄せても結構大きい苗が大きなポットに植えられて送られてくるくらいなので、半年ほど定植が遅れても問題はないでしょう

日の当たる場所にも植える場所があるのならそこに植えると株も長持ちして、ちょっと生育環境にはキツイ本州でもそれなりの収穫はあると思われます(本来はアスパラは北方の方の環境を好むので本州では多くの収穫までは期待できません)。また、多くの収穫はしない方が株が長持ちしますが、それでも残念ながら年々徐々に収量は下がっていきます。本州の気候だと本来よりは寿命は短いと思います
できれば数年に一度の株の更新(上記の、うちの親戚の様な栽培法)だと効率よく質の良いものが多く収穫できますが、農家だとしても本州では畑全部をアスパラ畑にするわけにはいかないでしょうし・・・

あと、日当たり以外の環境はどんなものでしょうか?御自宅の敷地内にある畑ですか?それとも家からは離れた場所でしょうか。埼玉でも山に近い土地なら少しは夏の暑さに耐えられるでしょうしある程度風通しの良いところだと蒸れません。土質はどうでしょうか?水はけがある程度良いけれど保肥性の良い土を好みます(地表近くに粘土層があるところは向きません)。基本的に水はけ良い土地の土に腐葉土などの有機物(植物の繊維質)を多く含む土を入れて肥えた土に改良し、植え付ける時に下の深いところに堆肥を入れてから植え付けます。そのため雑草が生えやすく、株が小さいうちから雑草を放置すると草に埋もれて株が次第に消えてしまうことがあるので(大株でも雑草に埋もれれば本州ならおそらく2年で枯れます)、できれば雑草は極力生えさせぬようマメな除草が必要です。家の周りの畑でならマメな除草も可能ですが家から離れた畑に植えるには向かない野菜です。グリーンでも芽の収穫は毎日少なくとも朝夕2回で、成長期は半日置くだけで目に見えて伸びすぎ半日で10センチほども育ちます。自宅近く以外は栽培に向かない野菜ということも考慮に入れておいて下さい。毎日朝晩畑に行けなければ美味しい食べごろのものが食べられない、収穫期はかなり手間のかかる野菜なんですよ。グリーンで日に2回人が手で一本一本収穫しますが昔のホワイトだけの頃は地面から芽がちょっとでも出ると等級が落ちるので日に4回くらい回っては山状に盛り上げた畝の地中の茎を勘だけでアスパラ専用の刃の付いた棒で差し切って採っていましたよ。そのため30年前くらいには高齢化で作る人が減りましたが私の父の実家だけが製薬業者との契約で遅くまでホワイトを栽培していました。
農家泣かせの作物だっただけに当時から高価なもので今では貴少なものになりましたが最近黒いビニールシートで出来たホワイトアスパラのトンネル栽培法が確立され、ヘッドライトを付けて真っ暗なビニールトンネル内を収穫して回れる様になったそうですよ

かずくん 2009/09/07(月) 19:15:43
ばんざいうさぎさん、大変丁寧なレス、有難うございます。感激です。
こちらの栽培状況を詳しく記入していなかったので、いろいろなケースを想定されてのご回答で、大変役に立ちました。
住まいはマンションで、農家から土地を借りて、いろいろな野菜を作っています。畑までは車で10分弱かかり、週末菜園の身には毎日2回のチェックは少し厳しい状況です。
グリーンアスパラの栽培予定地のほかに、借りている土地がありますが、そこは区画整理で2-3年のうちに替地に引っ越す必要があるといわれており(場所は未定)、それならばもっと長く借りられる土地(東側が林)に栽培したほうが、長持ちするかな?と考えた次第です。東の林も数年のうちには区画整理で消えると思いますが、来年はまだまだのようです。なので後半年待っても状況は変わらないと思います。また狭いマンションの庭(1階)をアスパラの苗のポットが占めていて、ほかの苗の育成に邪魔になるのと、このままポットで冬を越すより、畑のほうが丈夫に育つのではないかと思って定植を計画しています。
頂いたご意見を参考にすると、多少収穫が少なくても、東側が林の土地に植えつけることになるのかな、と考えます。
土地はやや赤玉土っぽい感じで、水はけは良いです。肥料分はそんなに良いようには見えませんので(大根などはごく普通に収穫できますが)おっやるとおり、有機質や堆肥を入れて、その後に苗を植えようと思います。どの程度の腐葉土や堆肥をいれたら良いのか手探りですが、長年もたせるとすると、かなり大量に入れておいたほうがいいのでしょうかね。一番下にはバーク材みたいなものを入れようかと思っています。
2-3年先には立派なグリーンアスパラを!と思ったのですが、本州ではあまり期待してはいけないのですね。

ばんざいうさぎ 【北海道】 2009/09/08(火) 15:51:00
やはり自宅からは遠い場所ですか・・・。毎日2回とはいかなくともできれば毎日か2日おきには収穫に行った方が良いですね。そうしないと育ち切って芽先がほぐれてしまうと見かけも味も落ちますから。育っちゃうとそれだけ収穫量が減る事になりますが、時期を過ぎた芽は無理に収穫せずに来年の養分を作らせる為にと残すのが良いですよ。ただ自宅から離れている畑だと一番の問題は、環境によっては人間をはじめとする何か動物にちょうど美味しく育った所のを盗られてしまうんですよね・・・

やはり、アスパラガスやズッキーニやキュウリの様な生育が早すぎるものはできれば目の届く場所に植えるのが良いのですが、お住まいがマンションだとそれは無理ですものね・・・

やはり養分の少ない土地なら土作りはしっかりしておくのが良いですね。植える前に完熟腐葉土や堆肥をたっぷり入れて地力を付けさせておくのが良いです。でもバーク材を深い所に埋めるのだけはよした方が良いかも・・・。バーク材はバーク堆肥の原料ですが用途は全く別です。上記で書いた深い所に堆肥を入れるというのは元肥的な意味合いで苗を植えつける時に株の真下の部分に適量入れて置くだけですので・・・
土の深い所に「バーク材の様なまだ繊維は全く分解されていないもの」を埋めてしまうと何時までも分解されないことが多いです。深いところには微細昆虫や微生物があまりおらずなかなか分解されないまま。そうするとバークに水が含まれてしまいその下にはあまり落ちていかず、長雨でもあればだんだん地表近くの水はけが悪くなる可能性が・・・
アスパラは水はけは必ず必要なので、深いところの水はけまで改良する必要はありません。せいぜい深さ30cmくらいまでの土に完熟腐葉土と「バークの繊維が完全に分解されて粉々になった堆肥」を「良く混ぜて」しまえば少し水持ちが改善されるくらいになりますから深いところはそのままに。特に水持ちを好む様な作物を植えるのではない限りはバーク材を埋めるまではしなくとも良いと思いますよ

堆肥はできれば土の量の3割までは入れられると良いかと思いますがあくまでも目安(多すぎはよくありませんけど。)牛フン堆肥は繊維が細かく消化されすぎベタつく、窒素が多すぎる、塩分や外国飼料由来の外来雑草の種が含まれるものも多いので土作りには向かず、使うなら追肥としてほんの少しだけ。堆肥の名前が付いていますが天然肥料と考えておくと良いです。まだ繊維質が残っている、バーク堆肥・稲わら堆肥・馬糞堆肥などが向きます。バーク堆肥だと堆肥化するのに鶏糞が使われるのでその分肥料が減らせ、すでに微細昆虫や微生物がかなり多いのが良い点です。完熟腐葉土の量は特にどのくらいというのは無いのですが(多く入れても影響はないですが、バーク堆肥を使うなら腐葉土は無くても大丈夫です)、必ず完熟のものを使うこと
土作りから始めるなら植えつけは数カ月待たねばなりません。微細昆虫や微生物が繊維質を食べて土になじませるのを待ってからです

できれば3年くらいは完熟腐葉土と堆肥は入れ続け、ミミズや微細昆虫が殖えてきたら2年おきくらいの間隔に減らしても大丈夫と思います。同じ科を連続して植える連作を避け、畑の隅にでも雑草や落ち葉・収穫終わりの作物の残さなどを積んで堆肥を作っておき(病害虫が出た株や種の付いた雑草は入れない)、時々混ぜて置いて完全に土に成ったものから畑に入れていくと良いですよ。お隣から飛んできた落ち葉も有効活用できますが、灌木には何の木が植えられている様ですか?銀杏や松やツバキなどの堆肥に向かない樹種以外なら大抵の落ち葉が堆肥材料として使えます

本州でのアスパラ栽培はどうしても収量は少ないかもしれませんが、土を肥えさせれば味の良いものが採れると思います。土作りは大変に思うでしょうがあまり無理はせず、いっぺんに大規模に出来ない場合は、畑を何区画かに分けて毎年1区画ずつ決めて改良するとか、少なくとも植え付け時に苗を植える穴より少し大きく深く穴を掘って、掘りだした土に堆肥を混ぜたものを埋めもどしてから作物苗を植え、収穫後か次に植えつける時にでも周りの改良してない土の所とよく混ぜてからまた新たに堆肥入りの土を足して植え・・・という部分部分からの改良でも、それを何年か繰り返すだけでかなり良い土に出来ますのであせらずできるだけ水はけが良いと言う長所だけは生かしつつ、地表は少し水持ちが良くて保肥性が良い土に・・・と作り変えていって下さいね

かずくん 2009/09/14(月) 10:18:17
[[解決]]
ばんざいうさぎさん、またまたご丁寧なレス有難うございます。
来年はせめて2日おきにはチェックする体制にしたいと思います。
同じ場所にズッキーニを植え、1週間見なかったら直径15cm、長さ60cmくらいのお化けになってしまいました。

借りている場所は、道路からは10mくらい奥に入っていて、また回りは同じ菜園仲間なので信用できるのですが、動物となるとちょっと防ぎようがないですね。

バーク材は止めたほうがよい、というご忠告助かりました。じつは先週末植える予定地を深く掘り返してバーク材を埋めようかと思っていましたので、早速中止しました。30cmくらい掘って堆肥を入れるのであれば、労力が少なくてすみます。バーク堆肥を近くの肥料屋さんで購入しようと思いましたが品切れのため、入荷待ちです。でも3割くらいは混ぜたほうが良いとなると、かなりの堆肥が必要ですね。
隣の潅木の種類はよくわかりませんが、見た目榎木のようです。落葉樹ですので堆肥の材料にはなると思います。
ただ、風任せの落ち葉集めでは量が限られまた、堆肥化するまでには時間が掛かりそうですので、当面は購入堆肥を使用することにします。


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