いちご育苗

[園芸相談センター]の過去ログです

スギ 2011/12/27(火) 18:50:12
イチゴのセル苗をポットに植え付け、別のポットに鉢受けしようと思っているのですが、1株から何個の苗が採取できるのでしょうか?

ばんざいうさぎ 【北海道】 2011/12/28(水) 10:57:15
いちごのランナー一本につきいくつ苗が採れるかと言う事でしょうか?それとも一株から一シーズンで何本ランナーが出てトータルして何個の新苗が出るかと言う事?
まず、一本のランナーには3つくらいの芽ができます。一番苗・二番苗・三番苗とか子苗・孫苗・ひ孫苗とか、太郎苗・二郎苗・三郎苗とか地方によって呼び方が違います。それより先にも小さな株がもし出来てもとても育ちが遅く苗に使うには向きません。3つのうち来年実を付けさせる苗用に使えるのは二番目と三番目の芽だけです。親に一番近い一番苗は原則として使いません。子苗は親苗がもし病気を持っていた場合の移行の可能性が特に高いとか、全体に均一な大きさの苗を作れないという意味であえて使わないようです。全く使えない事は無いのですがいろいろとリスクが高いのでその事を考えれば使わない方が無難という事でしょうか。

ランナーが親株から何本出るかですが、これは品種による差が激しいのでお手持ちのものが育って実際出てみないと解りません。日本の品種では少なくとも3本は出るものがほとんどですがそれ以上出るものもあるし、外国で作出された品種に多いのですが、元々「ランナーが全く出ない性質」のものもあります。
セル苗の品種名が解れば、その品種名で検索すれば品種の特徴など載っているサイトなどがヒットし、ランナーが大体何本くらい出るかの予想は付きやすいかもしれませんが、実際出る本数というのはスギさんがこれから栽培する土や環境や管理法でどうとも変わってしまうので実際は一株からいくつ苗が採れるかの予想は事前からはできません。とりあえずは予備を含め沢山のビニールポットを購入しておき、セル苗の数×採れる芽多めにみて8くらいでしょうか。10株だとビニールポット80個くらいは採れるかも。あらかじめ多めにビニールポットは50枚ひと綴り単位で用意しておいたほうが良いでしょう。ランナーの伸び始める時期前にあらかじめ50個は土を入れて待機させておき、ランナーの出具合を見て株の周りに置いておき、適宜数を足していきながら伸びてきたランナーを誘引して二番苗・三番苗の芽だけをビニールポットに根付かせるしかありません。

ちょっと気になったのは「イチゴのセル苗」という言葉です。このセル苗は購入されたものですか、ご自分でセルトレーに種子を蒔いて育苗したものですか?そして品種名は何でしょう?
日本のイチゴ品種は種子では殖やしませんから一般にセル苗で出回る事は少なく、大抵はビニールポットに植えられて売られています。日本のイチゴ品種はランナーで同一のものが早く容易に殖やせるため、わざわざ品種の性質を固定する事まではされていないので種子からは殖やせないんですね。日本の品種のイチゴから採った種子を蒔いて育苗しても元の親品種と全く同じものになる事はなく、味や大きさ病害虫への強さなどの性質がばらつきます。つまりもし‘あまおう’の実から採った種子を蒔いて育てても、‘あまおう’とは別物になると言う事です。特に地域ブランド名(品種名では無い)のイチゴは地元で複数の生産者がそこの土や同じ環境で栽培し、厳しい品質の徹底から選抜され決まったルート(地元農協など)から出荷されたものしか名乗れないので、元は同じ品種の株でも栽培地や栽培法が違っているだけで味まで変わり違うブランド名が付けられ売られている事もあります。

日本の品種の名付きで売られていたならおそらくメリクロン増殖による苗かと思われます。これは理屈で言えばランナー増殖と同じクローン体で、細胞レベルから試験管の中で殖やす方法。基本的に普通の栽培で何の問題もありません。
問題なのは外国の品種の種子を自ら種子を蒔いて育てた時の事。先に述べた様に外国のイチゴには「ランナーが最初から出ない性質の物」も多いのです。これは果物としてのイチゴ(それぞれヨーロッパと南米に生えていた近縁種の原種をかけ合わせ人間が作ったもので野生では存在しない。リンゴも同じ。)の親に当たる原種や品種改良時の交配に使われた複数の原種から引き継いだ特徴が、日本の系統とはかなり違う品種群です。要するに日本では最初に日本に入ってきた系統を元にランナーが出る性質を重要視し品種改良をしてきたと言う事です。
日本では昔から「四季成りイチゴ」の名前で種子で売られていたのがランナーの出ない原種の一つです。これが一時「幸せを呼ぶワイルドストロベリー」として、テラコッタ鉢に植えられたのがヒットし一時沢山流通していましたが、日本人は「イチゴはランナーで殖やすもの」と普通に思い込んでいるのにいくら待ってもランナーが出ず、殖えないので飽きられたのか割と早くに廃れました。

ランナーの出ない系統の殖やし方は種子を蒔くか(品種名付きなら大抵「固定種」です)親株が数年経って(日本の株は更新が頻繁で捨てられますが外国のは一株で何年も使えます)一株に生長点が複数出来た時(日本の品種は一株に付き生長点は一つ)株分けするしかありません。それだけ一株から殖えるのは遅くて数少ないです。そのためこれらの系統で将来を見込んでの沢山の株を望むならば、最初の種子蒔きをする時点から沢山蒔いて育苗していかなければなりません。アメリカで信じられないくらいの広大な平地でイチゴ栽培を行うのは、一度植えてしまえばあまり手間をかけなくて良いからとランナー無しの品種を使うから。合理的な考えからなのです。
この系統は外国の種苗会社で生産する品種改良されたイチゴ種子では結構多く最近では日本でも流通するようになった‘テンプテーション’がそうです。種子では出回っていないものの、ピンク色の花が咲く系統の一つの‘ヴィバ・ローザ’もランナーが出ない品種です。
もし、ご自分で種子から育苗したセル苗だとすると、この様な不都合が生じます。

まずは品種名で検索してみてヒットするその品種の特徴を覚えていき、基本的な栽培法+品種に合った、使用する土の土質・環境・栽培資材での工夫などで栽培してみて下さい

スギ 2011/12/28(水) 18:42:52
[[解決]]
ばんざいうさぎさん、大変詳しく説明していただき、ありがとうございます。
周年栽培イチゴ(夏秋、促成)の初心者でして、初年度は定植用苗を購入し栽培しました。
促成栽培はアスカルビーで、聞いた話では7月にセル苗を種苗会社より購入し7.5cmポット(40入りトレー)1枚の中に5本のセル苗を植え、そこから鉢受けするという方法です。
親株から鉢受けすると病気などの心配も含め、どうも調子が悪いようです。

デブグマ 【関東】 2011/12/28(水) 18:54:09
気になったので、一言。(長い一言です。)
今からの苗取りは無理かと思います。時期的にこれから休眠に入り春、暖かくなって花が咲きうまく受粉が出来たら実が出来、収穫が終わる6、7月ころからランナーがさかんに出るようになるのが一般的な苺の習性です。また元気な多くのランナーを得るためには3、4リットル程度の用土が必要で小さなビニールポットでは貧弱なランナーが出るだけです。通常の品種で親株1株から10から30以上の苗が得られます。

スギ 2011/12/29(木) 18:50:29
デブグマさん、ありがとうございます。
現在は10アールのハウス(高設水耕栽培)に定植してあり、真っ赤なイチゴを収穫中でございます。
苗取りは来年夏の話なのです。言葉足らずですみません。
周年栽培なので苗作りの作業も大変なのですが、定植苗の値段もばかにならないので、出来る限り自分で苗作りをしようと目論んでおるところです。
約7000株を定植するのに、どれほどの親株セル苗が必要なのかを知りたかったのです。

デブグマ 【関東】 2011/12/30(金) 01:23:03
スギさん、すみません。営利栽培をされているプロの方によけいなことを言って失礼しました。私もアスカルビーを趣味でプランターで栽培していますがあまり、糖度を高くできません。近所にスギさんと同様にアスカルビーのハウス(高設水耕栽培)をしているところがあり、直売もしていてその甘さに感激して真似したのですが。

スギ 2011/12/30(金) 11:39:27
いえいえ、デブグマさん お気遣いありがとうございます。
苗作りに関しては初心者なので(^_^;)定植苗を購入しても黒字で大丈夫なのですが、出来る範囲で自分で苗作りもしていと思ってたので
またお気づきの点がありましたら教ええいただくと幸いです。
確かにアスカルビーの糖度を高くするのは難しいですよね。
女峰系なので酸味もあり、アントシアン色素も少ないので
色付きも悪いですし...電照効果も少なく(>_<)
自分のやり方としましてはマメに手入れをし、摘花を強めにすると
比較的甘くなるかと思います。
ご存知とは思いますが、葉っぱも1芽につき最低でも6枚以上は維持しないといけませんし。
葉っぱは多く、着果は少なく・・と。
一気に葉かきしてしまうと味が薄くなった経験がありますので(汗)

デブグマ 【関東】 2012/01/04(水) 18:20:20
少し日にちが過ぎてしまいましたが、直接、苗採りの情報ではありませんが、下記サイトでアスカルビーの栽培に関する研究論文が閲覧できます。アスカルビーの作出元の奈良県農業試験場での研究論文です。もう10年以上前の論文ですが御参考になれば・・・
http://www.affrc.go.jp/agrolib/agrapi/result/freeword/full_text/%25E3%2582%25A2%25E3%2582%25B9%25E3%2582%25AB%25E3%2583%25AB%25E3%2583%2593%25E3%2583%25BC
こちらからも閲覧できます。
http://www.pref.nara.jp/dd_aspx_menuid-25647.htm
31号(2000)
他にも探すと有用な情報がでてくると思います。


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