においスミレの株分け
スミレ
【近畿】
2013/04/25(木) 09:55:09
八重のにおいスミレが鉢(40cmくらい)いっぱいに素晴らしい
花を咲かせてくれました。
もう鉢の中は根がびっしりはびこっている状態です。
新芽も出てきました。
株分けできるでしょうか?
ばんざいうさぎ
【北海道】
2013/04/25(木) 11:52:42
まず、一般の花屋で市販されている八重咲きのニオイスミレというのはニオイスミレではありませんのでご注意くださいね。
「パルマスミレの八重咲き品種」というもので、昔はニオイスミレと同種扱いでしたが今の分類は別種となっています。栽培して香料を沢山採る目的で人為的に作出された種類だそうで、葉に照りがある、耐寒性が弱めであるなどニオイスミレと特徴や性質が違います。よく香ることからと昔の分類のまま日本の業者が付けている流通名でニオイスミレとは異なる物なのでご注意ください。(本来、香りがあるスミレは結構な数存在し、日本自生種にも何種もあります。)
本物のニオイスミレの八重咲き(ブレッドバイオレットと呼ばれる原種の地方変異型のひとつ)も存在しますが、発見されて間もなく一般の花屋にはまだ出回っていませんし(ネットショップで販売しているが高価)、花の咲き方も花弁が均等に多弁化しておらず、普通の一重咲きの中心に数枚の花弁が出来る程度の物です。
ですのでこれからはお手持ちの物は「八重咲きパルマスミレ」とお呼び下さいね
殖やし方ですが、本来は小さな株のうちから口が広い容器に植えておけばイチゴの様にランナーが何本も外側に伸び、その途中や先端に子株が出来るので、それが育った頃に掘り上げ鉢に植え殖やします。でも市販の物は鉢花として見栄えが良い様にと狭い鉢の中に植えている為伸びたランナーが中で絡み合ってしまい、そのまま土に根付いているのでランナーをほぐせば根を切ってしまう事になるので株分けは難しいです。無理に離そうとすれば親株も子株も弱らせてしまいかねません。
乱暴に分ければ(ランナーを根を切りながら伸ばしたり、根鉢ごと刃物などで4分割ほどに切り離してしまう等)かなりの子株が枯れる可能性もあり、普通の株分けは鉢植え売りの八重咲きパルマスミレではしない方が良いと思います。
殖やすにはまず大きな鉢に植え替える事です。近畿あたりだと夏の暑さに耐えられる様に今時期で良いと思います。口が広い(高さは普通の鉢の半分ほどでも良い)プランターに、鉢から抜いて根鉢を崩し根を広げて中心に植えます。鉢底石は無くても良いと思います。土は普通の花用の培養土で良いと思います。植え付けたら外側の伸び始めているランナーを外側に伸ばし(根が出ていない物だけ)、ランナーが動かない様に針金をU字型に曲げたもので土に留めて固定します。(髪用のU字ピンでも良いです)水をたっぷり与えこのまま半日陰の環境で育てておけば(開花期のみ日差しを好み、葉の期間は日陰を好む)秋までにランナーに付く子株が育ちますから、ランナーを切って独立させます。子株がよく育つのは次の年なのですが、日本の場合は冬が問題なのです。
本物のニオイスミレは耐寒性がかなり強く、冬は雪の下で緑の葉が氷に閉じ込められたままで越冬出来ます。なので、春にはすぐに光合成が出来てすぐ元気な姿になり花も多く咲きます。
それが八重咲きパルマスミレは、人為的に作られ栽培地は冬も温暖な所なので耐寒性が弱め、本州でも越冬は出来るか出来ないかくらいの性質で品種によっても差があるようです。寒さから避けるのに上に落ち葉を敷きつめたりの工夫も必要。どうにか越冬できても葉は少なく、市販の様に花が咲く時期に葉も沢山ある状態に作るのは難しいかもしれません(開花も市販品より遅い)。市販の物は、温室やビニールハウスに暖房器を入れて寒くない様保温して越冬、春早くから葉が茂り花が多く付くように促成栽培された物です。個人の家では同じ様な環境を作るのは難しいでしょう。
また室内での越冬も結構難しく、温度管理と湿度管理が特に難しいです。日光の遮り加減、乾燥を嫌い、水切れも嫌います。冬の暖房のある環境ではハダニが発生しやすくソウカ病に罹って枯れる事も多いです。
個人での栽培は結構気を使うので、八重咲きパルマスミレはどちらかと言うと「咲き捨て」の植物を考えた方が良く、どうにか次のシーズンも開花出来る様な状態に維持できれば「運がよかった」と考えるのが良いと思います。殖やす事も、品種によるでしょうが小さな株での越冬では生き残れるかどうか解りません・・・。殖やすのはダメモトという所でしょうか。
何年も沢山殖やして楽しみたいなら、八重咲きパルマスミレではなく本物のニオイスミレの方を購入なさる事をお勧めします。本州の梅雨時と猛暑だと北海道ほどでは無いでしょうが育ちますし、手入れ次第では年々殖えてくれます。八重咲きパルマスミレでは種子が出来ませんが、ニオイスミレだと八重咲きのものも種子が出来ますし、この種子がこぼれたりアリが運んだ物ほど発芽率がとても良いのです(乾燥させると発芽が悪くなる)。庭にあればニオイスミレが気にいった環境(北側の日陰や庭木・垣根の下など)で一人生えし年々増えて群生してくれます。特徴が固定化されている物なら種子で殖やしても同じものが咲きますが、中には子孫では違う色で咲くものもあり、そういうものは閉鎖花の実から採った種子かランナーで殖やすと良いです。株一つの寿命は短いので、親株の寿命は3年くらい。ランナーの子株や種子で株の更新を行うと良いです。鉢植えなら出来るだけ大きめの鉢で2〜3年楽しんだらあらかじめ育てて置いた新しい苗に更新したほうが調子を崩しません。香りは八重咲きパルマスミレほど強い香りでは無いですが(パルマスミレは香りが強すぎる)結構香り、香りの種類もいくつかあります。でも品種により香りの強弱や香らない物もあるのでご注意ください。特に異種交配由来のものなどや白や杏色の花の品種は遺伝的に香らない物があり、ニオイスミレの場合はできれば現物の香りを確認してから買うか、品種名付きの物を事前にインターネットでの評判を調べてから(個人のサイトやブログで確認。)ネットショップで苗を買う と良いです。
ニオイスミレも原種からの選抜品種や、近縁種との交配由来のものまで園芸品種はいろいろあります。原種由来のは割と華奢な印象の物から、夏葉がとても大きくなりグラウンドカバーとして使える様な物、ランナーが伸びまくるもの、あまり伸びない物まで色々で、中には近畿あたりだと栽培環境が合わず蒸れたりなど栽培に向かない物もあるようですので、できれば評判などで欲しい品種をいくつか候補に挙げ、香るか・お住まいの地で育てやすいか等調べておき、10月頃と2月頃にネットショップでの予約や販売が始まるので販売品の中に欲しい品種があれば予約や購入すると良いですよ。ニオイスミレとして販売されている品種名の無い商品にはビオラ・ソロリアと言う香りの無い別種である事も多いのでご注意ください。
私の住んでいるのは北海道でニオイスミレ栽培には最適な環境です。元農家なので敷地が無駄に広く、いくつもの品種を群生させています。こちらでは放置で全く問題なく、植え木の根元のグラウンドカバーに使ったり、漂う香りを楽しんだり、咲き進むにつれて色が変わってくるもの、思いもしない場所から生えてきたりと興味が尽き付きません。時には斑模様入りの変異が出たり、当地自生の野生の近縁種と交雑しオリジナルの美麗な花が咲いたりと結構サプライズもあってニオイスミレはいろんな楽しみ方の出来る植物と気が付いて、今年も数種買い足しました。これからがとても楽しみな植物です。
スミレ
【近畿】
2013/04/25(木) 17:33:04
[[解決]]
ご丁寧なご返信ありがとうございました。
においスミレとばかり思いこんでいましたがパルマスミレの八重咲き・・・玄関先に置いてほめていただいたものでうれしくなり増やせるものなら分けてプレゼントにしたいと思ったのでした!
ちょっと難しそうなのでそっと地植えにしてみようかと・・・
小さい庭にタチツボすみれ、コスミレ、イソスミレ、肥後すみれ、ノジスミレなどいつの間にかこぼれ種で増えています。今は一年中で一番楽しみな季節です。
フェンスを越えてコンクリートの道路の隅に種々立派なスミレが健気に咲いています。種が飛んだのでしょう。
ばんざいうさぎ様、最後の5行のなんと羨ましいこと!
すみれに最適な環境が目に浮かびます。
ご丁寧なご教示大変ありがたく、うれしく今日はいい一日でした!
園芸相談掲示板@園芸相談センター