タイム(観賞用)は、非食用ですか?

[園芸相談センター]の過去ログです

ちょび子 2010/07/15(木) 15:03:47
2年前に購入した、タイム ロンギカリウスです。
クリーピングタイプで、地植えしていますがどんどん広がっています。
購入したときの札に、タイム ロンギカリウス(観賞用)とあります。
わざわざ(観賞用)としてあるからには、何か口にしないほうがよい
理由がありますか?札には、問合せ先がないので、聞いてみることができないのですが、どんなものでしょうか?
ちなみに、食用のタイムを食べたことがないので、香りに違いがあるかどうかも、自分ではわかりません。

ちょび子 2010/07/15(木) 17:05:00
すみません。
お伺いしたかったのは、このタイムについてではなく、ハーブなのにわざわざ『観賞用』と断り書きがある意味がよくわからなかったからなのです。
遺伝子組み換え植物で、人体への安全性が不明だとか、
何か深い理由があるのかなと思ったからなのです。

ばんざいうさぎ 【北海道】 2010/07/15(木) 17:13:26
タイムの中でも普通の食用目的に使えるのは、コモンタイムとレモンタイムだけです。これらは直接葉そのものを食べるのではなく、肉料理を煮込む時の肉の臭み抜き目的にと湯に溶けだした精油(香り)を利用したり、魚のグリルに香りを付けるため一緒に焼く使い方をする種類で、普通、タイムそのものを食べる料理と言うのはほとんどないんですよ。
元々葉の質が割と硬いので、精油が一番溜まっている収穫時期の葉や乾燥させた葉は口当たりが悪いという理由もあるのでしょう。どうしても料理にそのまま加えたい場合は若くて柔らかい葉を細かくみじん切りし、香りが強くなりすぎない様に少量を入れます。私はそうやってよくハーブオムレツにとパセリやチャイブ、極少量のミントなどと混ぜて使っていましたよ

最近ではハーブティーとして飲む人も出てきましたがそれもやっぱり葉の精油を湯に溶けださせるだけ、それもタイムだけではあまり美味しく感じないので他のハーブをメインにタイム少量を混ぜて味にアクセントをつけるくらいです。特にレモンタイムが合います

昔はタイムは立茎タイプのタイムだけで、クリーピングタイプのはタイムではないとされて呼ばれる名前も学名自体も違うものでした。クリーピングタイプのものは元々食用として使われる歴史は無かったと言う事なんです
ただ、薬草としては利用されていたらしいです。イブキジャコウソウという日本に昔からあるタイムは、大昔外国人宣教師が日本に持ち込んで伊吹山に薬草園を作って植えたものが広まったという説もあり、元々日本にしかない種類というのではありません

なのでロンギカリウスという原種も海外で薬草として使われたのかもしれませんが、料理や嗜好品として使われた事はないと言う事です。花がタイムの仲間の中では比較的華やかで、グランドカバー目的にも使いやすいのでクリーピングタイプが「観賞用」として売られているわけです

立ち性のタイムでも観賞用目的の品種というのが沢山ありますよ。その中でもコモンタイムの斑入り葉品種やレモンタイムの斑入り葉品種などは一応「観賞用」目的なのですが、こちらは緑の葉の株の枝の途中から変異したり種子から生えた時に変わったものが現われて挿し木で殖やされたものなので基本的な味や香りは変わらず立派に料理やハーブティーにも使えますよ
うちでは前にいた家の庭で食用目的のレモンタイムの普通の緑の葉の株と、‘ゴールデンクィーン’という黄色い斑の入る綺麗なレモンタイムの観賞用品種を植えていました。観賞用品種は庭のコーナーを仕切る為の小さな垣根として並べて沢山植えてこまめに刈り込みながら形を均一に整えていましたが、刈った小枝は冷凍しておいて料理に使っていましたよ。見かけ以外は緑のと変わりません。私はコモンタイムの薬臭い香りが苦手だったので、カレーやシチューに良く使うブーケガルニ(ハーブ数種の葉や枝を束ねたもの)にとこの剪定枝を使っていました

タイムには、基本的に毒であるものなどは無いはずですが、薬効成分があるとされますのでたくさん取りすぎれば体調の不調など出るかもしれません。またタイムにはラベンダータイムやココナツタイム、カンファータイムなど他の植物に匂いが似ている種類もありますが、香りの種類や強さによっては実際口にすると不快に感じて食べられないというのも結構あるんですよ。料理やハーブティーに使うには合わないから、食用には使われず、「香りも観賞するもの」という感覚で「観賞用」とされている様です

シソ科には異種でも交雑し易いものがあり、タイムには立ち性タイプとクリーピングタイプを交配させて作った新しい品種というものもあります。そういう近年の品種はすべて観賞目的で作られているので「観賞用」として売られていますね

ばんざいうさぎ 【北海道】 2010/07/15(木) 17:48:56
あ、書き込んでいるうちに補足がアップされていたのですね
「ハーブ」という言葉は、元々食用目的のものだけに使われる言葉では無いんですよ。外国では利用価値のある身近な植物を指す意味で、口に入れる以外に匂いで虫や腐れ悪臭や菌を防いだり皮膚などの病気や怪我を治すなどいろんな目的で、人工的なものに頼らず、すぐに使える植物の事で、元々「ハーブ」と呼ばれる植物が使われる国では特別栽培なぞしなくても道端なんかに極普通に生えてるものを指すんです

また、日本で使われる「ハーブ」という言葉や定義も混乱していて曖昧でして、外国でハーブとして使われる植物は似た仲間のうちたったの一種類だけを指す事が多いのに日本では似た仲間を皆ハーブとして売ってしまっています
例えば、レディースマントルという婦人の病気に効くハーブがあります。これはアルケミラという植物のうち、薬効の強いたったの一種類(基本的に同じ学名のもの)だけがレディースマントルと言うのですが、日本ではアルケミラの仲間なら何でもハーブとされていてアルケミラ・モリスという大型に育つ観賞目的の品種さえもハーブとして使えると混同してしまっているんです(効き目ゼロではないのですが葉が大きくても成分が薄まっているので使うには効率が悪いです)

外国のハーブとして使用されている植物はそのほとんどは原種で、極一部(例えばカモミール)など医療用にも使われているものが効き目を増強する目的で改良されていますが、そういうもの以外は改良されてしまうと薬効が弱くなります。その中で特に本来の特徴からかけ離れたもののうち、香りを楽しんだり見た目を重視するのを「観賞用」と呼ぶわけです

外国では「観賞用の種類」というのは本来の定義のハーブに含まれませんが、日本に限っては「観賞用」もハーブの中に含まれてしまっていると言う事なんです

ちょび子 2010/07/16(金) 08:42:56
[[解決]]
ばんざいうさぎ様
いつも、私のつたない質問に丁寧にお答えくださってありがとうございます。
納得。納得です。

クリーピングタイプのものは元々食用として使われる歴史は無かったと言う事なんです
花がタイムの仲間の中では比較的華やかで、グランドカバー目的にも使いやすいのでクリーピングタイプが「観賞用」として売られているわけです

ここのところで、とてもよくわかりました。
幅広く、深い知識をお持ちで尊敬してます。
試しに、ちょこっと食してみることにします!!!


[園芸相談センター]の過去ログです

園芸相談掲示板@園芸相談センター園芸相談センター