「過燐酸石灰」「溶りん」のちがい

[園芸相談センター]の過去ログです

チコ 【九州】 2009/02/14(土) 15:57:48
ほうれん草の燐酸分には溶りんを、隣人の言うには、畑に力がなくなったら、溶りんをすきこむといいとききました。二つの違いがまだ、よく解かりません。よろしく、お願いします。

たちつ 【近畿】 2009/02/15(日) 22:49:18

私もどういう説明なのか待ってましたが、誰も書かないので、一言。
私も、素人の一人ですから良くわからないので、聞き流す程度に・・・・
私は、肥料に関しては無頓着で、ずぼらですし、まして単肥など使ったこともない。

結論から言って、熔りん と 溶リン の漢字間違い。
  (^_^;)

問題は、溶リンの意味で、迷っている・良く解らないから、書き込みがないものと想像します。
「溶リン」とは、水に溶けるのか、水以外の物質で溶けるのか? 何の略語なのかということです。
馴染み深く古い言葉で、今更という感じです。言い易いし。ところが今日では、配合肥料の種類が多くて、又、
NPK数字理解するので、化学成分など必要なくなってきた。ここに必要性と国語のギャップが出てきた。
よく「リンカリ」肥料を多い目に、とかいいますが、
リンカリってなにやねん?と聞けば、袋の裏に書いてある。で通じる。昔は、リンは骨・カリは燃えカスの灰をいみした。ちなみにチッソは、糞尿藁堆肥。
元に戻って、
水溶性燐酸という意味(=分類・グループ)ならば、過リン酸石灰と同じ意味になる。(=その仲間のひとつ)
く溶性燐酸という意味ならば、熔リン(熔成リン肥)となり意味は異なる。
その他 可溶性燐酸という意味なら過燐酸石灰は仲間で、熔リンは仲間ではない。

熔解・・・金属など高温でとける
溶解・・・水に溶ける。
その他 融解・溶融とか科学用語と日常的国語とのギャップがあってややこしいものです。

さらに、WP・SP・CP・TPとか全量とか内数とかになれば
(・・? となる。少なくとも迷うことになる。尤もそこまでは、面倒なので?読まない。ブランドとかデザインで決めることになる。私は、多くて、安ければ消費期限が切れていても良い。(^_^;)

その他 生理的中性・化学的酸性・化学的アルカリ性とか

個別に、

過リン酸石灰とは、即効性肥料で、pH5以下と土壌性質により、固形化する。つまりリン肥料としての効果が一時的にストップする。その後、最適微生物繁殖環境で、リン肥料としての役目に戻る可能性がある。
水溶性ですから、雨による流失も激しい。
短期的には、生理的中性。長期的には、化学的酸度pH3。

粉末状に粉砕したリン鉱石に硫酸を作用することで製造する。

Ca3(PO4)2 + 2H2SO4 + 2H2O → Ca(H2PO4)2 + 2CaSO4・2H2O
肥料として使われる場合は,全リン酸として16〜20重量%、後ほど説明する水溶性リン酸を13%以上含んでいなければならない。硫酸カルシウムは60重量%程度含まれる。

熔リンとは、水に溶けないが、根の分泌物であるクエン酸で溶けて、根に吸収される固形物。水に強く遅効性である。 クエン酸の「く」と溶解の性の燐酸→ く溶性の燐酸。 
クではなく く なのか、当時はカタカナを使わなかった。クエン酸ではなく、 くえん酸 といった。

熔成リン肥は、純物質ではなく、く溶性リン酸、アルカリ分(石灰、苦土)などの混合物である。
元肥として利用される。リン酸のほとんどが、く溶性で水溶性ではないので速効性はない。
く溶性リン酸は土壌と結合しにくいので、リン酸が土壌で無駄になることは少ない。
アルカリ分が多いので過剰な施肥は、土壌のアルカリ化をまねく。化学的アルカリ性pH10 

リン鉱石にケイ酸マグネシウム質資材(蛇紋岩,フェロニッケル合金スラグなど)を混合したものを,電気炉または平炉で1400〜1500℃程度に溶融し,流出時に水流急冷を行ったのち,乾燥,粉砕して製品とする。水には不溶で,クエン酸液にはよく溶けるク溶性リンです。ほかカルシウム,マグネシウム,ケイ酸を含み,有効4成分からなるアルカリ性の肥料で、無硫酸根肥料であって,未開墾土壌の土壌改質材としても優良です。

いずれも、本来は、日本では、主食の米の生産効率をあげるために、輸入されたもの。もともとは、日本で造れる発想も技術も設備もなかった。多雨・水田と水溶性で肥料分流失・火山性土壌という矛盾もあった。
 薪→石炭→石油・ガス→電気・電磁調理器と火元熱源が変わってきたようなもの。(炊事場・身の回りのこと)

リンは、人間も植物も必須元素ですが、反面尤も危険な元素のひとつです。有名なサリンも殺人兵器の毒ガス・殺虫殺菌剤にもリンが使われています。花火・マッチとか。浸透性の黄燐などは、骨を腐らせます。 単肥はいろいろと混ぜて使いますから、使用は十分に注意すること。

ホウレンソウの栽培
そこで、ホウレンソウは、葉を食べるので、さほどリン肥料が必要なのか・こだわるのか疑問です。
ようは、生理的消費する必要のある石灰がいるということでしょうね。石灰はアルカリ性が強い。そこで中性の過燐酸石灰を使うことになる。さらに、成長が早いので、即効性の水溶性となる。ということは、リンではなく
カルシュームに視点を置くべきでした。
ここに3つの意思伝達の誤解があった。(ようりんの発音伝承・成長が早い即効か遅効・石灰とリンの視点)

家庭菜園程度なら、無難なのは、適当なJAサイトで、検索すること。
http://www.ja-megumino.or.jp/einou/challenge/spinach.html

配合肥料の8-8-8か10-10-10が万能で楽。何でも使用量と施肥時期に注意。時には、液肥の葉面散布も有効かも。

その他
食用部分が葉となり又、成長が早い。元肥料が勝負。
3大石灰野菜の一つである。酸性土壌からアルカリ土壌へと中和効果と石灰による生理特性や殺虫殺菌効果。

ホウレンソウには、シュウ酸とか土壌により硝酸態というあまり好ましくない成分がありますから、灰汁抜きはしっかりとしましょうね。季語・旬は冬です。

ちなみに、私は、ホウレンソウは作ったこともなければ、作ることも無い。
眼を潰したくは無いし、結石にもなりたくない ことにコジツケテ、実は幼少のころ、病弱だったので、人参とホウレンソウを無理やり、朝昼晩と毎日毎日 大盛を腹いっぱい食べさされたので、あまり好きではない。
 (^_^;)


たちつ 【近畿】 2009/02/15(日) 23:57:03

JAサイトでは、肥料について、各JA毎に、いろいろな肥料名が書かれていますが、地域の土壌性とか採算商品とかいろいろな目的で、混合比率が異なるので、気にしなくても良い。又ネットで調べても、個別には、詳しく紹介されていないものが多い。
指定肥料ともいう。広義的には、各JAの指定?推奨品?ですが、狭義的には、唯単なる監督官庁に届出した肥料のことです。事務手続きの簡便化。・・・・混合面管理

化学肥料は、人的・植物的・環境的・労働面的に危険物質なので、法律で、規制されている面もある。・・・・製造面管理。

ということで、サイトの語句にこだわらないことです。
似たようなものなら、適当でよい。

このように考えます。 

前述の文言はWikipediaからのコピペがほとんどです。その他JAとか営農サイトとか。


たちつ 【近畿】 2009/02/16(月) 18:17:10

以下は、肥糧の宣伝するものでも、私が実際に検証したわけでもない為、肯定・否定・批判しているものでもない。
サイト閲覧者の、運・好き嫌い・解釈・考え方などの違いを比較したものである。

1) 極端に、燐酸を減農するタイプの表現
http://www.maruishi.org/veteran828.htm
肥料名 ベテラン8-2-8
説明 抜粋
ハウス葉菜元肥用有機入り配合肥料
ベテラン8-2-8(以下ベテラン)はハウス土耕の葉菜用として開発された肥料です。主に連作するホウレン草に適しています。

りん酸が少ない。
ホウレン草は、もともとりん酸の吸収量が少なく、りん酸が多く含まれている肥料で連作していくと土壌中にりん酸が蓄積され、栄養のアンバランスな状態が発生します。そのためベテランはりん酸が少ないように設計されています。
・・・ハウス・連作・蓄積・土壌分析後を普通は解釈しない。唯単に、ホーレンソウは、リンが要らないと解釈する。

2) 極端に、燐酸を増農するタイプの表現
http://www.taihiya.com/shinsaibai/hourensou.htm
ほうれん草 肥培管理
基本概念 施肥、圃場準備(10aあたり、年間5作栽培)
土壌の肥料バランスを燐酸型にする。・・・子葉を大きくする。
 発芽をそろえる。         ・・・有機窒素を使用しない。
 生育中期に追肥で生育を調整する。 ・・・本場8枚目以降(葉面散布、潅水)
 収穫1週間前に生育を止める。    ・・・Ca、B葉面散布で、糖度上昇、葉重上昇(チッソを切る)

肥  料
ECを測定し、0.3以下では、従来どおりの肥料成分を化成肥料で施肥する。ALL8でよい・・・NPK8-8-8
土壌改良
リン酸質堆肥を投入   まぜた君 15kg 10袋
燐酸質完熟堆肥「まぜた君」の成分は約 NPK1-4-2
3)その他
石灰窒素は必須肥料という過リン酸石灰対抗派
http://www.cacn.jp/technology/qa_pdf/Q6-4-15.pdf
ホウレンソウに石灰窒素は必須肥料になっていますが、そのわけは・・・・・? A6−4−15 ホウレンソウは硝酸態窒素を好んで吸収しますが、アンモニア態窒素も吸収させると葉色が濃く葉肉が厚くなり品質のよい(ビタミンC含量の多い)ものが穫れます。 また、ホウレンソウは極めて酸性土壌に弱く養分として石灰を多く吸収します。 このようなホウレンソウの性質から@窒素がアンモニア態窒素として長効きする、A酸性土壌の改良効果がある、B石灰を含有すると云う石灰窒素の特性とよく合います。秋冬どりの産地では石灰窒素を10a当たり40〜80sを必ず使用しています。 石灰窒素により、生育はよく、葉色は緑が濃く艶があり、葉先はしっかりと葉肉厚く、日持ちのよい、商品性に優れたものが穫れます。 また、センチュウ類の防除効果や除草効果なども、ホウレンソウの良品多収に結びついているものと考えています。表6-4-l1 ホウレンソウに対する石灰窒素の効果 (宮城県・1991年) ・・・石灰窒素工業会

ここで、偶々1)だけを流し読みした人は、燐酸は少ないほうが良いと思い込むでしょうし
    偶々2)だけを流し読みした人は、燐酸は多いほうがが良いと思い込むことでしょう
    偶々3)だけを流し読みした人は、燐酸よりカルシュウム・窒素が良いと思い込むでしょう。
    いろいろなサイトを流し読みする人は、ますます混乱し・迷うでしょう。
中には、施肥量の換算を忘れる人も居るかもしれません。立場(耕作面積とその収穫量と必要とする消費量)を考えないかもしれない。
ということを追加報告させていただきます。


pinetree 【九州】 2009/02/16(月) 18:46:39
 「過燐酸石灰」と「溶りん」のちがい?と言う意味での質問で,リン酸成分の特性の違いについてなら

 「過燐酸石灰」はリン酸を20%含み、うち15%が水溶性リン酸で即効的ですが、土壌に吸着固定されやすく植物に利用できなくなりやすい特性を持ちます。
 「溶りん」は「く溶性リン酸」のことで水溶性ではありません。「く」は根が出すクエン酸で,根が伸びてきて初めて溶け出して,植物に吸収されます。

 このような特性を持ちますから,「過燐酸石灰」は早く効きますし,土壌表面に施しても浸透して効果が出ますが,吸着によって効きが悪くなりやすいのです。
 「溶リン」は根が伸びてこないと効きませんので,土壌中に混ぜ込むのが基本です。土壌に固定されにくく根が伸びるにつれて吸収しますのでじっくりと長効きします。

 ただし,肥料は「必要量を施す」のが基本だと思います。多量にやっても無駄ですし,アルカリ化によってバランスを崩す事もありますのでほどほどに。

 検索したら,すっかり忘れてましたが,昔書いたのが出てきましたので参考までに。
http://botany.cool.ne.jp/log/200405/04050350.html

たちつ 【近畿】 2009/02/16(月) 19:30:20

折角pinetreeさんが簡潔にまとめて下さったのに、混乱させてすみませんが、ついでながら・・・

続編として
それでは、窒素工業会はなんといっているか というと
http://www.jaf.gr.jp/
・・・なお、施肥量は、一般に窒素の施肥基準値にあわせて決めています。
従って、りん酸や加里の施肥基準値と多少ずれることもあります。 しかし、それらは普通あまり 問題になりません。・・・肥料は窒素が一番といっています。 (^^♪
まぁー それぞれ立場がありますからねぇー

私のはこれでおしまいにします。


犬塚信乃 2009/02/17(火) 16:34:47
古い友人のHNに釣られるままに書きます。

私がヨウリンのことを学んだのは随分と昔で
「熔生燐肥」と教わりました。
文字通り、燐鉱石と蛇紋岩を原料にした工業製品だったのです。

ヨウリンは植物の根酸によってリン酸と苦土成分を取り込む。
つまり、その他の要因によって流乏しにくいという性質があります。
安定した長期に渡り、リン酸を供給し土壌の酸性化を防いでくれる
優れものと記憶しております。
今では殆どの生産は隣の大国に移ってしまっていて
めっき工業での残留溶液(産廃物)から抽出される亜燐酸塩が
原料になっているようです。

過燐酸石灰については皆様のコメントや過去ログで語りつくされています。

実際の運用として私は地植えのバラのために
冬の基肥として腐葉土(骨粉と過燐酸石灰を加え寝かせたもの)と
ヨウリンを混和して施しています。
まあ、量はほうはアバウトですが。

基本的にこのような使い方が良いのだと思っています。

チコ 2009/02/17(火) 17:42:00
[[解決]]
皆さん、とても参考になりました。ヨウリンのようは「溶」でなく、「熔」なのですね。「地力が、なくなった時、熔燐をすきこむといい」との意味も、ほうれんそうに燐酸がいい訳も、理解できました・ありがとうございました。


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