F1の種について教えてください

[園芸相談センター]の過去ログです

のり@川崎 2007/02/26(月) 19:06:52
花や野菜の種で改良品種でF1というのをよく目にします。一応、メンデルの法則くらいは承知しているのですが、F1の種がどういうものかいまひとつ
わかりません。
AとBを掛けてよい性質がでたものをF1として販売しているんだと思うのですが、
AとBとかけたものがすべて望ましいF1の性質がでるわけではないわ
ですよね? また望ましい性質のF1の種(F2)はF1と同じ性質ではありま
せんよね? それですと売られているF1の種というのはどのようなもの
なのでしょうか? ふと考えはじめたら疑問が頭をはなれなくなって
しました(笑)。詳しくご存知の方、ぜひ、ご教授ください。

Iwasaki 【近畿】 2007/02/26(月) 19:36:51
F1交配種とは、基本的な目標野菜と、その近縁種で一番野生に近く遺伝的に離れた性質の物とを交配しています。
其の為、両方の性質を持つ訳ですが、其の交配された物の優劣を分類し、遺伝的に目標に近い物が作出された親を利用して生産されます。
又、親は目標性質が出た物のクローン等を利用するので、種は同じ性質の物が確立的に出易いです。
ただ、このF1種には、遺伝的には野生種の遺伝が引き継がれ易い為、殆どが一代で後に其のままの性質は引き継がれません。
其れと、今販売されているF1種の種は、100パーセントの確立で同じ性質の物が出る訳ではありませんが、80パーセント以上の確立で目標性質の種が作出されていると思います。

Iwasaki 【近畿】 2007/02/26(月) 19:55:33
一つ書き忘れていたので、追加します。
F1交配を行う理由は、野生種の病気耐性を生産品種に持たせる為に行っています。
例えば、アブラナ科の水菜が、Aと言う病気に対する対病性が低いとします。
そこで、性質がかけ離れている、アブラナ科の野生に近い、からし菜がAと言う病気に強い性質が有るとしたら、水菜とからし菜を交配して、遺伝的に水菜の食感や形を持っていて、尚且つからし菜の対病性を持つ物がF1交配の目標と成ります。
其れと、同じプロセスで同じ性質の種が一回出ただけでは、F1種は成功とは言えません。
同じ性質の種が、生産に乗れる量を作れて、始めて改良種の成功と言えます。

削除依頼 【関東】 [URL:http://homepage2.nifty.com/tane-tak/] 2007/02/26(月) 20:59:55
Iwasakiさんの
>F1種の種は…80パーセント以上の確立で目標性質の種が作出…
 ここが読み取りにくいのですが、次のどちらかの意味ですか。
A 販売されているF1品種種子から育て、これを母本として自家受粉繁殖したF2種子を育てると、80パーセント以上の確立で目標性質が現れ
B 販売されているF1品種種子からは、80パーセント以上の確立で目標性質の植物が育ち
この記事は削除依頼中です
追加発言はご遠慮下さい。


タネツリ [URL:http://homepage2.nifty.com/tane-tak/] 2007/02/26(月) 21:03:02
 失礼しました。 2007/02/26(月) 20:59:55の発言者は、タネツリです。削除依頼となってしまい、びっくりしております。

のり@川崎 2007/02/26(月) 22:19:48
Iwasakiさん、さっそくの詳しいご説明、ほんとうにありがとうございます。
お答えいただけて、とてもうれしいです(^^)

なるほど、Aと野生に近いBと交配して望ましいCができたとすると、親の
Aのクローン(ないし一般的なものならA自身)を作ってBと交配して種を
取るということですよね? そしてAのクローン(ないしA)とBと交配すると、
必ず(あるいはかなりの確率で)望ましいCが現れることが確かめられなければ
ならないという理解で正しいでしょうか?

もう1点お教えいただきたいのですが、親Aのクローンというのは根や
成長点などからクローンを作るのだと思うのですが、植物一般、このような
クローン作りは簡単なのでしょうか? 

タネツリさんのご質問については私はBと理解したのですが、どうでしょうか?

VITA [URL:http://vita.easter.ne.jp/] 2007/02/27(火) 01:35:07
こんばんは〜

>AとBとかけたものがすべて望ましいF1の性質がでるわけではないわ
ですよね?

その組み合わせを探るのが、交配の目的や醍醐味であり、理論値では100%のだったはず。

>また望ましい性質のF1の種(F2)はF1と同じ性質ではありませんよね?

もちろんです。
優性遺伝子を持って親と同じ形質が発現するものと、
優性遺伝子を持たずに親と違う形質が発現するものに分かれます。
おじいちゃんおばあちゃんの形質が出ますから、いわゆる先祖がえりします。
Iwasakiさんがおっしゃる「遺伝的には野生種の遺伝が引き継がれ易い」のことですね〜。

ちなみにご存知とは思いますが「優性遺伝子」は優れている、ではなく、
発現しやすい、の意味です。

優性劣性が完全に決まっていて、反対の形質を発現させる遺伝子が、
それぞれ独立した染色体にあれば、計算式で分離の確立が出ます。
要素が多ければ多いほど、F2はさまざまなバリエーションに分かれるはずです。
が、実際は独立が保たれていなかったり、人間にとって分ける必要のない
形質の差だったりで、似通ったグループの比率が多くなるはず。

タネツリさんのご質問は、私もIwasakiさんがBでお話になっていると
解釈しました。
一つの形質の発現とすれば、計算では優性の発現の確率は75%。
Iwasakiさんの研究とほぼ同じですね〜。

ただこれは、目的とする形質の数やレベルにより、数値にばらつきが出るはずですね。

>植物一般、このようなクローン作りは簡単なのでしょうか? 

出来ますよ。
カルスを育てて、根とか葉とかに成長するように植物ホルモンを与えればいいのです。

たちつ 【近畿】 2007/02/27(火) 14:27:05

もっと、単純に考えた方が楽。
物事は何でも、「楽」な方法に進む・望む傾向にある。
この場合の「楽」とは、手間隙掛けずに、よい物が、安定して、沢山で
きる。という事です。詰まり 簡単に安く作れて、高く売れる・喜ばれ
るという事です。

そこで、種屋さんは、いろいろな種類を集め、栽培し、性質を調べ、その良い性質を残し、都合の悪い性質を取除く研究をしています。
その一つに、交配特性であったり、クローン細胞繁殖であったり、遺伝子組み換えであったりします。

交配繁殖の特性として、性質が安定しやすい両親(aとb)を見つけ、交配すれば、両親より優れた性質の子供(ab=F1)が出来やすいということです。このF1の中から、より優れたもの・市場性のある品種を選び、利用することになる。又再現性も必要となる。・・・出来上がったF1の全てがよいものとは限らない。
良い性質を持った、再現性の高いものが、F1の種として、販売される。細かく分析すれば、いくら優れ選別されたF1であっても同じものは無い。品質が揃っているという確率がきわめて高い(希望に沿う品質が得られやすい)ということです。

ところが、そのF1から生まれたF2(孫)は、全て同じF1とはならず、色々な性質が現れる。勿論F1と同じものもある。F2の種の段階で、簡単に区別されれば、問題が無いのですが、其れは簡単なことではない。
ので、再び種を買うことになる。種屋の一人舞台となるし、性質が揃っているので、一つの原因で全滅することにもなる。・・・・極論
鶏とインフルエンザの関係が良い例。

研究と確率の問題。

いずれにしても、F1の多くは野菜に多い。本来の目的とかけ離れて、高級というイメージも先行していた時代もあったし、専売特許の意味にも使われた。今は、種を採取して、蒔いてもダメなものというイメージが強い(同一品質の再現性が無いの意味が育たない・種が出来ないの意味に履き違えている。)
種は、1度パターンを見つければ、大量生産が簡単に出来るのが良い。

F1 [first 一番目 filial子供 hybrid 交配雑種]雑種第一代は、その性質が雑種強勢を持つことに着目した利用方法。

クローンは、コピー(同一性質の再現)で、株分け・挿し木・取り木・細胞繁殖のこと。数が種ほど沢山出来ないし、実施時節の制限もある。
特に細胞繁殖・試験管ベイビーをメリクローン [mericlone<meristem(分裂組織)+clone(栄養素)] 植】 分裂組織を培養して栄養繁殖させた植物個体.といわれ、最近のハイテク・バイテクでもある。
成長分裂組織があればどれでも、可能ですが、手間隙や苗作りに要する期間・コストが高くつくので、高価な草花とか、繁殖の難しい植物・無菌苗(ウイルスフリー・実験用)に良く作られる程度。・・・面倒で失敗も多い。

遺伝子組み換えは、肉眼では、見えない細かい分野・操作で、設備と技能が要求される。DNA(成長の仕方の設計図)とRNA(その設計図をコピーして修復する複写機)の問題。自然界では、突然変異として現れる。
人体では、細胞の寿命が短い細胞・放射能紫外線など外的刺激が強いとき・老齢化など再現能力が低いときに良く起こり、概ね個体細胞のの生存に悪い方向に進展する。元々同じものから作られるので、正常細胞と区別認識しないので、修復されない。この異体変異細胞にも寿命がある。ところがその部分が、正常な本来の細胞に修復されないと、全体のバランスが崩れて、破壊される。・・・コビーのコビーは段々と不鮮明になり、読めなくなるようなもの。コビーの原紙(オリジナル)は、大切にしましょう。自家受粉しやすい穀物に多い。人為的突然変異の創造。

大体 このようなイメージ。


Iwasaki 【近畿】 2007/02/27(火) 18:22:18
返事が遅れてしまいすみませんでした。
先週の木曜に、手首の手術を受けたので、PCを触るのを控えていました。
種吊さんの質問に付いては、Bの解釈です。
目標値としては、100パーセントに成れば良いのですが、F1種はあくまでも人工交配で有って遺伝子組換では無い為、如何しても不要な物(人にとっての劣勢遺伝)を100パーセントは取り除けません。
其の為、F2では遺伝的に、野生種の中に有る植物にとっての生存に有利で、人には不要な遺伝性質の方が、強く出やすい傾向が有ります。
例えば、野菜で言うと苦味等や歯触りの悪い等の性質です。
此れは、外敵から身を守る為に植物には必要な性質ですが、人には邪魔な物です。
又、その様に二世代目に性質が引き継がれ難い為に、F1交配種を種メーカー等は積極的に利用しています。
其れと、同じ性質の物を簡単に作れないのと、ほぼ一世代限りの性質の為パテント等が守られます。
其の為、F1は究極の交配された雑種と言えます。

>もう1点お教えいただきたいのですが、親Aのクローンというのは根や 成長点などからクローンを作るのだと思うのですが、植物一般、このような クローン作りは簡単なのでしょうか?  
現代の組織培養技術では、簡単に作れます。
植物の成長点はもちろんの事、茎頂部や花弁でも作り出せます。
まぁ〜、ある程度の設備や知識は必要ですが、VITAさんが書かれている様にカルスと言って良いのかどうかは私には解りませんが、プロトコームライクボディ(プロトコーム状球体)を作り出し、植物の成長ホルモンや栄養素を与え、成長させれは良いだけです。
簡単な例で言うと、挿し木や取り木も一種のクローン体と言えます。

Iwasaki 【近畿】 2007/02/27(火) 18:34:12
すみません。内容が少し抜けていました。
「・・・しても不要な物(人にとっての劣勢遺伝)を100パーセントは取り除けません。
其の為、F2では遺伝的に、野生種の中に有る植物にとっての生存に有利・・・」
この部分を、「・・・しても不要な物(人にとっての劣勢遺伝)を100パーセントは取り除けません。
よって数パーセントの確立で、別の性質の物が含まれる事が有ります。
次にF1に残っている遺伝には親の様々な遺伝が残っています。
其の為、F2では遺伝的に、野生種の中に有る植物にとっての生存に有利・・・」

のり@川崎 2007/02/27(火) 18:45:30
[[解決]]
VITAさん、Iwasakiさん、たちつさん、詳しいお話をありがとうございました。

Iwasakiさん、手首の手術を受けられたとのこと、たいへんなときに丁寧な
ご説明をいただき、ほんとうにありがとうございました。とてもよくわかり
ました。こんどF1の種をまくときには、それを作り出した方々のご苦労や
楽しさを思い起こすと思います。植物の不思議について別の疑問質問も
あるのですが、またの機会にさせていたきたいと思いますので、その節には
よろしくお願いします。手首、お大事になさってください。

みなさま、ありがとうございました。

Iwasaki 【近畿】 2007/02/27(火) 19:19:11
もう一つ抜けていました。
「簡単な例で言うと、挿し木や取り木も一種のクローン体と言えます。」

この文章では、プロトコームライクボディを誤解されやすいので、プロトコームライクボディについて追加しときます。
プロトコームライクボディ(PLB)とは、種子発芽の初期段階に形成される細胞に近い物です。
実際は、採取した植物の細胞を数ミリの大きさ(ウイルスフリーの場合は1mm以下)に切り培養液等の中で細胞培養します。
そうすると、元の細胞を中心に球状に増殖して行きます。
その球状に成長した物を、プロトコームライクボディ(PLB)と言います。
この段階では、未だ葉や茎等の形には成っていません。
どちらかと言うと種の中の核に近いかも知れません。


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