石灰硫黄合剤の登録
犬塚信乃
2003/11/28(金) 19:52:23
これからの季節、特にバラやクレマティスに石灰硫黄合剤を散布しようと思いますが、園芸店でボトルを確認したところ、登録植物にバラやクレマティスはありません。
若し、実施したとすれば、「違法」ということになるのでしょうか?
pinetree
2003/11/28(金) 23:44:56
良く気づかれましたね。
正確さに自信はありませんが,個人的に理解している範囲で。
農薬の対象作物に関しては,作物名(例えばバラ,ハイビスカスなど)で分類されていたのが,非食用作物では「芝」「花き類(草本作物) 観葉植物」「樹木類(木本植物)」にグループ化され,再登録がすすめられているようです。
厳密に言えば,適用外作物への農薬使用は,お書きのとおり「違法」と思います。その一方で,食用作物への適用外農薬の使用とは異なり,非食用作物では罰則規定が無いらしく,極めて「ゆるい」規制ではあります。だからといって使用して良いと言っているわけではありませんので,お間違いの無いよう。
と言うことで,合法的に使用するためには,メーカーがその農薬の対象作物を「花き類」のグループで再登録してある必要があります。以前なら,メーカーの農薬要覧を見れば簡単に解るのですが,現在は農薬取締法の改正に伴う過渡期で,記載内容が日毎に変わると言っても過言ではありません。石灰硫黄合剤の花き類での再登録は,メーカーに問い合わせるしかないでしょうね。
なお,余計な話ですがあくまでも非食用の花き類での登録ですので,エディブルフラワーなど食用に供する場合はとんでもない罰金,実刑が課せられる事になると思います。(ので,絶対食ったらいけません)
るびぃ
2003/11/29(土) 10:07:16
のんびり屋で今から調べようかと思ってた矢先の質問だったので便乗させてください。すみません。
エディブルフラワーに使用不可ということは、バラの花や実を食べるなら(違法性かは過渡期としておいておいたとしても)現時点で未登録というのは毒性がある(残る)可能性があるというということなんですよね。
本数も増えてきたので、落葉性の樹は散布(塗り塗り)しようかと考えていたところですが、よく調べてみようと思いました。
食用と非食用ですが、例えば似ていてもサクラとサクランボじゃ全然違うということですよね。
人があまり外に出ない冬には、少しはしっかり殺菌しようかと思ったのですが、薬ってすごく難しいですね。。。。
当たり前のように本などで書いてあった薬ですが、改めて検索とかしてみるとかなりキツい薬みたいですね。。。。
疑問ってもたないといけないですね。
なんか変なカキコになってすみません。
pinetree
2003/11/29(土) 12:27:12
私は農薬の専門家ではありませんので,あくまでも使う立場のレベルでのお返事です。
>現時点で未登録というのは毒性がある(残る)可能性があるというという・・・
登録は薬効や人畜毒性,残留毒性などを調査しておこなわれます。再登録がおこなわれていない状態を含め,「未登録」は製薬会社からの申請,審査が済んでいない状態,あるいは却下された結果で,必ずしも残留毒性が高いことを示すわけではありません。
登録には散布試験などに要する長い時間を要します。再登録の作業は急がれてはいるようですが,法改正に伴い多数の申請が出される状況では,遅れていることは容易に想像できます。また,千万,億単位のお金が必要なこともあり,投資に対するメリットのない(価格が安い,あるいは売れない?)薬剤では,登録申請さえおこなわれない可能性もあります。
>食用と非食用ですが、例えば似ていてもサクラとサクランボじゃ全然違う・・・
区分については,おっしゃるとおりと思います。
そもそも,食用作物と非食用作物では,残留毒性の評価レベルが違うのではないでしょうか。口にする食用作物では,より厳しくなっていると思うのですが,私自身は確認しておりません。
私は自然農法信奉者ではありません。必要に応じて農薬を使う,あくまでも「普通レベル」の農業者のつもりです。でも,農薬を減らす必要性は痛感しております。
虫や病気の特徴を理解し,農薬の作用性も理解して,必要なときに最小限の量で最大の効果が得られる使い方を学んで行きたいと思っています。自分のためですものね。
農薬に関しては 農薬工業会 http://www.jcpa.or.jp/index.htm あたりを参照しています。
るびぃ
2003/11/29(土) 18:56:15
とても勉強になるお話とサイトのご紹介をありがとうございました。
電話で相談を受けてもらえるところもあるのですね(^_^)
メーカーかそういう場所に一度聞いてみたいと思います。
確かに石灰硫黄合剤は安い上に、散布時のキツさから使用量も減っているとか。
今まで残留性は少なく、これをやっておけば、年間の減農薬に役立つと(机上知識ですが)認識していたので、びっくりしたというのも本音でした。
いろんな事情があるのですね。
自分の手持ち分だけでも、最小限で最大の効果が得られる知識をなんとか学んでいけたらと思ってましたが、駆け出しガーデナーにはなかなか難しいです。ありがとうございました♪
今年は暖冬なので、高濃度散布はタイミングを逃しそうですが(^_^;;
犬塚信乃
2003/11/29(土) 20:05:49
[[解決]]
皆様、大変参考になるレスを有難うございました。
今年バラに使った農薬を点検したところ、登録があるのはダイセンステンレスとサプロール、ケルセンにマンネブダイセンくらいのものでした。
除虫○乳剤とか○イレトン水和剤、オ○ダン水和剤は使ってしまいましたね。
しかし、ハダニの薬剤はローテーションしなくてはならないので、難しいところです。
遵法か防除か、といったところでしょうか。
PS
2003/11/30(日) 09:03:58
ちなみに、うどん粉病は
胞子が風で運ばれ、若い葉や枝、花首、蕾に寄生し、
多くの植物に発生する病気です。
多くの種類があり、中には色々な植物に寄生する種類もいますが、
主にはそれぞれ違う植物に寄生します。
例えばバラのうどんこ病はバラにしか発生しません。
もう一つの特徴としてうどんこ病は生きている植物にしか寄生しません。
しかも植物体表面でしか繁殖することができないので
冬季に塗布して殺菌する方法がとられますが
塗り残しがあったり、春以降に近くで発病したバラがあれば
胞子が風で運ばれ移ります。
http://www7.plala.or.jp/smomomo/organic4byouki.html
http://www7.plala.or.jp/organicrose/qa07.htm
るびぃ
2003/12/01(月) 14:00:05
PSさんありがとうございますね。こういう調べ物では必ずGAMIさんのところに行きますね(^_^)
隅々まで読めてなかったんで、読もうと思います。
たしかにうどん粉には効果がどうかという話がありますね。
石灰硫黄合剤について、まだ問い合わせをしたりはしてないのですが、調べたところの報告(?)を。
昨日、HCで見た石灰硫黄合剤には「花き」への適応表示がありました。しかもあいまいなことに「主な適応作物」・・・・って書いてありましたから「全部書いてるんと違うんかいっ」って。
メーカーに問い合わせると登録してあったりするものもあるかも知れませんね。
いろいろさまよっていて解ったのですが、同じ薬剤でもメーカーごとに登録してある適応作物が微妙に違うんですね。
そして、今、知ったんですが、pinetreeさんの「花き類」での登録の意味。ばらって農薬の適応分類では樹木(花木)ではなくて、花き(草本類)なんですねーーー。なんか、びっくり。
厳密に言えば、現時点では取り締まりとは別にニームオイルなんかも違法らしいですから、違法性かどうかを論議する気はあまりないのですけれど。
薔薇よりむしろ、昨日届いた果樹苗のために調べてるとこなんですが、石灰硫黄合剤より良いと思うものがみつかれば、そちらにしたいと思いました。(家庭園芸ですもの)
薔薇だけに絞って言えば誘引しちゃったものに腐食性のあるものかけるのには無理がありますし(笑)
http://www.nouyaku.net/index.html
http://kamome.jppn.ne.jp/nouyaku/
↑ただいまこのあたりを散策してます(^0^)
犬塚信乃
2003/12/01(月) 20:18:46
話を拡大させるようで申し訳ないのですが、バラのウドンコ病は
施肥云々、防除云々よりも品種による格差のほうがずっと大きい
と、思っているのですが。
我家ではイントゥリーグとノービーがウドンコ病、ベト病に極端に
弱いですね。
すみません、これから先はバラのスレに行きます。
pinetree
2003/12/01(月) 20:45:37
犬塚信乃さん るびぃさん おかげさまで私も勉強させていただきました。
[[解決]]が出ており,大塚さんも話はここまでとおっしゃてますが,途中まで書いておりましたので,ダニ防除に関して知る範囲で書き込みます。ただし,カンキツでの話ですのでそこの所はよろしく・・・
抵抗性発現の問題については,大塚様がお書きの通りです。お解りかとは思いますが,これは薬を変えれば良いのではなく,「同一成分あるいは同一系統でない」グループの剤を選択する必要があります。このことはなかなか理解されておらず,一般的農家や家庭園芸でハダニの防除を困難にしています。
現在の農薬は化学合成した物がほとんどで,剤によって異なりますが連用すると抵抗性発現の可能性があります。これに対し,「マシン油乳剤」は,昆虫類の気孔を塞いで窒息させる物理的殺虫剤であるため,抵抗性の問題は生じにくくなります。
カンキツのハダニやカイガラムシの防除では,冬のマシン油乳剤散布でいかに越冬虫密度を下げておくかが大きなポイントです。この薬は,鉱物油(機械油)に乳化剤を混ぜた物で,葉中組織への浸透により植物体にダメージを与え,光合成が阻害される,落葉するなどの薬害もありますが,休眠中の落葉果樹(葉のない状態)ではあまり(無いと言うことではありませんが)問題とされません。
効果的な防除のためには
・規定濃度内で,薬害のでない範囲の濃いマシン油乳剤を,まんべんなく散布する。
・高温時や極端な乾燥,樹勢低下状態では散布を避ける。
・乾燥がひどい場合は,かん水や葉水によって水分ストレスを解消する。
・夏マシン(高度精製マシン油,ハーベストオイルなど)と冬マシン
があり,夏マシンの方が薬害は起こしにくい。
なお,ハダニの発生が多いときは効果が低下しますので,事前に水で洗い流すなどしてハダニの密度を下げておくことをお薦めします。これは,他のダニ剤の時も同様です。
なお,うどんこ病に関しては,PSさんがお書きのとおり増殖は生体上なのですが,越冬は被害葉などに出来た子のう殻でもおこなわれるんだったと記憶しております。翌春の菌密度を低下させるためには,発生初期に防除する事はもちろん,枯れ葉や枯れ枝は早めに埋めるかゴミに出して,きちんと片づけることが大切でしょう。
品種間差については,作られている方がいちばん良くご存じでしょうね.
長々とすみませんでした。
るびぃ
2003/12/01(月) 23:11:35
お話続けて、すみません。ハダニってすごいんですね。軒下がほとんどないせいか、多少は出るのですが薬剤をかけようと思うほど出たことがないのであまり気にしてませんでした。違う薬剤にするという意味を深く考えたことがなかったので、大変参考になりました。大量発生したときに備えて覚えておきたいと思います。
薬剤防除はほとんどしないんですが、買ってすぐの苗は1年はたいして病気にならないので、芽の中に菌が残るとは言え、やはり冬にやっておくと違うのではないかと体験的には思ってます。一番、冬に死滅させておきたいのは黒点病です。。。。なかなか台所農薬では効いてくれないので。
ウドンコも品種格差は確かに有るでしょうね。うちで少しかかるのはサマースノーだけでした(^0^)
弱いの買わないので。。。。ベト病は見たこと無いです。
イントゥリーグとノービー。メモっておきます。ありがとうございます。
環境も大きいと思いますが、パターンが出てくるでしょうから、お庭と生活にあった方法が見つけられたらなと思います。
犬塚信乃
2003/12/02(火) 10:27:30
いや〜 実に参考になります。pinetreeさん、るびぃさん、PSさんありがとうございます。
自分で幕引といっておきながら、またまた質問なのですが。
@夏マシンと冬マシンのことをもう少し教えていただきたい事
Apinetreeさんは結局冬季にマシン油を撒布したほうがハダニに関しては効果があると思っておられるのでしょうか?
教えて君の犬塚でした。
pinetree
2003/12/03(水) 00:04:23
>犬塚様
あまり調子に乗って書き込んでいるとボロが出そうですが・・・
マシン油乳剤は,特にハダニに効くわけではありません。ハダニに対しては「そこそこ効く」のであり,抵抗性が発現していないなら合成農薬(以下ダニ剤)の方が,間違いなく効きます。
ただし,ダニ剤は,いつかはハダニの抵抗性が発現して効きにくくなります。連用すれば,その時期は極端に早まります。また,ダニ剤は,補食性のダニなどの天敵にも大きなダメージを与えるため,天敵相の減少がハダニの発生を助長することにもなります。
ハダニの発生が多い場合,どこかでハダニ密度を下げることが必要ですが,そのポイントが,植物の活性が低くなり休眠に入る冬季のマシン油乳剤散布なのです。マシン油なら抵抗性の発現したハダニに2対しても効果的ですし,休眠期あるいは葉がなければ,薬害の発生も少なくなります。マシン油の冬季防除で効果が上がる害虫にカイガラムシがいますが,これも越冬虫をきちんと押さえ込めれば,春以降の防除を間違いなく減らすことが出来ます。
ハダニに限らず害虫は,農薬で根絶できるものではありません。天敵とのバランスを保ちながら,被害が容認できる程度に発生を抑えておくのが本来の姿と思います。ダニ剤を多用することで,かえってダニ被害を大きくすることもあるのですが,国内のいくつかのカンキツ産地では,マシン油を入れて天敵と調和させ,ダニ剤散布を減らす取り組みが始まっています。私もダニ剤は使用しますが,ダニ剤だけに頼るような防除はしていないつもりです。
マシン油は,有機栽培でも使用が認められており,真偽のほどは別として,国は環境にやさしい農薬と位置づけていると理解しております。
基本は冬マシンで,鉱物油に乳化剤を加えたものです。夏マシンは精製度合いを高め,不純物割合がより低く(値段は高く)なっています。ただ,中間の精製度のものもあるため,厳密な区分ではないようです。
散布濃度は夏マシンの方が薄いようですが,散布時期と温度に関連するのかも知れませんが,詳しい理由は解りません。夏マシンは冬にも散布出来ますが,農薬登録上の問題があり(この問題さえなければ,夏マシンを高濃度で冬に撒きたいのですが)散布時期や濃度が決められています。逆に,冬マシンを夏に撒くと薬害を生じやすくなります。
対象害虫は「夏マシン,商品名;ハーベストオイル」の場合,対象作物は異なりますが,ハダニとカイガラムシ,アブラムシです。カイガラムシ対象の場合は濃度が濃くなります。なお,キュウリとイチゴではうどんこ病での登録もあります。
現状では登録拡大がネックになって,適用外作物での使用は難しいですね。薬害の問題もありますので,体の良い言い方なら「自己責任で」と言うことでしょうか。
>るびぃさん
>買ってすぐの苗は1年はたいして病気にならないので・・・
このごろあまり聞かないのですが,カンキツ苗の生産業者はハダニの防除を頻繁に行います。だからですね。苗木で持ち込んだハダニは,なかなかダニ剤が効かなかったみたいですよ。(今は?ですが)ハダニで真っ白くなったミカンの苗なんて,誰も買いませんが,どちらが良いのやら・・・
犬塚信乃
2003/12/03(水) 19:30:07
pinetreeさん、生産に携わっている方からの貴重な見識に感服しました。
シロウトに対しての細やかで丁寧な説明に頭が下がる思いです。
今後もご縁がありましたらよろしく御教授の程、お願いいたします。
園芸相談掲示板@園芸相談センター