アンズの仕立て直し

[園芸相談センター]の過去ログです

ひでと 2003/01/08(水) 09:05:20
3年前にアンズの苗を購入し 直径80cmほどの鉢で植えています。その時、ラベルに上部の1/3程度で切るように書いてあったのでそのまま実行しました。新しい枝が出てきても横の方にばかり出てしまって樹形が変になってしまいました。現在は 1mほどのところで歪に二股に分かれてしまっています。(下の方にも多少枝があります。)もう少し真っ直ぐな幹にしたいのですがどのようにしたら良いのでしょうか?
剪定の仕方の本とか 果樹の育て方の本を覗いても良くわからないのです。

フラボン [URL:http://www.alpine-plants-jp.com/] 2003/01/08(水) 21:37:25
樹木の枝の伸びというものは 地下部の根の伸びと比例するものです。
鉢植えされているとのことですから、根詰まりなどで地下部の生育が制限されると
上に伸びる力は弱くなると考えた方がよいでしょう。

ラベルに書いてあったことは 苗木を圃場に定植することを念頭に置いたもので
鉢植えを想定したものではないと思います。

今後の選択肢は2つあります。
1 畑や庭に植えて育てる:適地であれば ぐんぐん育つかも..
2 鉢植えのまま育てる:以下を参照

鉢植えの場合、いかにして根の伸長を継続させるかにかかっています。
通常の鉢を使用した場合には 根が鉢の表面に沿って張り付くように伸びて
あっという間に根詰まりすることが多いのです。

一般に根は酸素を好みます。 また、空気に触れると伸長を停止する性質があります。
そこで、最近見られるようになったプラ鉢などの側面下部にスリットのあるものに植えるなどして
通気性を重視した用土で植えると安定した成長が見られるかもしれません。
樹木以外でも最近用いられるようになりました。

幹を真っ直ぐにしたいということですが、大きく切り戻して
芽を出し直すしかないでしょう。
この場合には 12月頃に主幹を思い切って切りつめると同時に
植え替える必要があるでしょう。
地上部と同様に根の切りつめもしなければなりません。

もっとも 生育が思わしくない状態だと 逆効果になりかねませんが...
うまくいけば 春に切り口付近の不定芽から 強い徒長枝が数本立ちますから
素性のよいものに支柱を添えて伸ばし、不要なものは基部から
きれいに切除するとよいでしょう。

あとは 冬の休眠期に枝の上部を剪定して 翌春に脇芽を出させましょう。

ひでと 2003/01/09(木) 11:48:11
フラボン様 ご教示有難うございます。現状を考えると復活は難しいみたいですね。根の切り詰めまで必要になるのでしたらば、今のを諦めて新たに苗から 再チャレンジをしてみようと思います。そこでもう少し教えていただけないでしょうか。

一つは はじめの鉢の大きさなのですが 少し小さめのものを用いるべきでしょうか?

もう一つは 入手できそうな苗はやはり先端が切られています。この場合いまた さらに切り詰める必要がありますでしょうか?
これに関係して 切る位置なのですが 普通の剪定は芽の上で切りますが、教えていただいた不定芽をださせる為には 芽の位置をはずして剪定する必要があるのでしょうか?
宜しく ご教示をお願いします。

フラボン [URL:http://www.alpine-plants-jp.com/] 2003/01/09(木) 21:56:57
アンズは適地に植えられると 相当な大きさになりうる樹木です。
それを 根域が制限された鉢植えで栽培しようとするわけですから
通常の 果樹の教科書を見てもあまり役に立ちません。
頭の中の思考を180度転換することが必要です。

新たに 苗を購入して植えるつもりであれば 鉢の大きさは小さくて結構です。
ただし 先にも述べたように 根に十分な酸素が確保され 常に
根の伸長が可能な状態に維持されることが必要です。

まず、鉢ですが 直径20p程度の中深鉢から始めるのが無難かな?
鉢の素材は 硬質のプラスチックがよいでしょう。
また、苗木の生産業者が使用しているような 底面吸水も可能な
側面下部に細長い隙間を空けたものがおすすめですね。

着生ランなど 極端に根が通気性を好むものでは 大きくスリットを空けた
鉢で植える場合がありますが、それの小型?版とでもいいましょうか...

植え付ける用土ですが、通気性や物理化学的な安定性を考慮すると 畑や庭の土は避け
ツツジやシャクナゲで好んで使用されるピートモスに団粒質の柔らかめの火山性の砂礫を
等量程度混合したものが 手に入りやすいし 使いやすいでしょう。

ようは どんな植え方であれ、根が鉢に沿ってぐるぐる回るような状態が回避され、
なおかつ 鉢内に万遍なく常に伸長できる環境が維持されればいいんです。

根巻き防止のために、鉢内部の側面に壁状の突起を出させたものも考案され
野菜苗の育成などに利用されていますが、酸素の供給の点から劣るため
アンズには向かないでしょう。

苗木の植え付けの時には やはり幹と根の整理が欠かせません。
特に、鉢植えでは直根の切り戻しは必要です。
鉢の大きさが直径・深さともに20p程度であれば 直根は数p程度に切り詰め、その他の細い根も
適宜切り詰めます。(作業中に細根を乾かさないように注意してね)

次に幹ですが、若い苗木ですから芽の少し(数ミリ)上で切り戻します。
極端に若い枝からは不定芽は出にくいですから芽をかかないように注意します。

次に 鉢に用土を少し(4から5pくらい)入れて その上に根を広げてさらに用土を入れていきます。
このさい ゴロ土は不要です。鉢下部の隙間から酸素が供給されることなどから 根ぐさりはしないものです。
下手にゴロを入れると その上に滞水層が形成されて 逆効果の場合もありますよ。

入れた用土は指でぐいぐい押して詰めてやります。
いわゆる 「突きぎめ」 のミニ版ですかね。

あとは 水をたっぷりと与えて終わりです。

なお、この手法では 根域の物理・化学性の安定を考慮しているため
一般の山野草栽培と同様に無肥料に近い状態となっています。
活着して芽が動き始めたら緩効性の化学肥料などを置くなどして
肥培してやりましょう。

その後は 実物盆栽に近いような管理をしてやると コンパクトなままに
維持することができるんです。

根の伸長状態さえ維持できれば 常に元気な状態で枝を伸ばしますよ。
あとは 剪定の仕方で樹形が決まります。

花芽の着きを望むなら 樹をいじめてストレスを与えることです。
一時的に窒素肥料を断つとか ある時期に葉を全部もいでしまうとか 幹に針金を巻いて締め付けるとか...
昔から いろいろ試されてきていますね。

あとは 毎日 アンズとよく対話することです。
日々刻々と変化していく様を感じ取り 四季の移ろいを読みとれれば...なーんてね。

ひでと 2003/01/10(金) 09:08:27
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フラボン様 非常にわかり易いご指導ありがとうございました。ここ数年 どうしようかと悩んでいた問題が一挙に解決しました。初めて植えた果樹でしたので「このままではいけない」と思いながらもどうしようもなく過ぎてしまっていました。今のアンズはいじらずに 今年の花と実を楽しんでから 「さようなら」をして、別に苗からの再チャレンジをするようにします。本当にありがとうございました。


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